球場が呼んでいる(田尾安志)

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「開かずに打つ」は万能か 定説疑う目を持とう

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2019/3/26 6:30
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ベテランにもなると打撃フォームや投球スタイルを変えるのは勇気が要る。実績を残してきた人なら、なおさら過去の成功を否定するようなまねはしたがらない。ただ、選手寿命を延ばす意味でも、体の変化に応じて動きを変える勇気を持つことは大切。その変化の必要性を感じている選手に内川聖一(ソフトバンク)がいる。

宮崎での春季キャンプで打撃フォームの変化を見て取った私は「スイング、変えたね」と聞いた。すると、内川は「もう、肘を伸ばす形は厳しいという感じになってきました」。

打撃では、球をミートするポイントから最もグリップが遠くにある位置を「トップ」という。弓に例えれば、矢を放つために最大限、弦を引ききったところ。スイングのためのエネルギーが最も蓄積されるのがトップで、そこから一気にバットを振り切ることで、エネルギーをロスなく球に伝えることができる。

ソフトバンク・内川も36歳。現状に合ったスイングへと懸命に変えようとしている=共同

ソフトバンク・内川も36歳。現状に合ったスイングへと懸命に変えようとしている=共同

年齢とともに抜群の反射神経も…

トップをつくった際、グリップは顔や体の近くにあるのが理想。グリップが体から離れていると投手側の肘が伸びて、内角球をさばくのが難しくなる。内川はもともとグリップが体から遠く、肘が伸びた状態で打つタイプだったが、それでも好成績を残してきたのは抜群の反射神経で瞬間的に肘をたたむことができたからだ。その芸当が「厳しい感じ」になったのは、肘をたたむスピードが内角を襲う球のスピードについていけなくなってきたということ。内川も36歳。選手生活の曲がり角に差し掛かっている。

打撃を一からつくり直す足しになればと、内川には別に「打ちにいくときに重心が前にいきすぎているよ」と伝えた。よく打撃で「壁を意識しよう」という指導者は多い。前側の肩、右打者なら左肩の辺りに「壁」があると想定し「肩を開かないで打つのが理想だ」と。だが、考えてみてほしい。前側の肩を開かないで打とうとすると、内角を打つのが窮屈になることに気付くはずだ。

内角を打つときは、捕手側の足(後ろ足)に重心を置き、前側の肩はむしろ開いてあげるといい。開くということは壁がないわけで、インパクトの後もヘッドが走り、フォロースルーを大きく取ることができる。バットが大きな軌道を描き、打球に勢いが出る。後ろ足に重心を置けば球に対して距離を取ることができ、そこから肩を開くことで内角球でも芯で捉えやすくなる。それでも詰まるようならボール球で、振らないまでだ。

「開かない」が不正解なのではない。投球のコースを見極めるまでは、もちろん開いてはいけないのだ。外角球ならぎりぎりまで開かずに打つことが肝要。前側の肩を開いて外角低めの変化球を打ちにいき、あっさり空振りというのはよく見るシーンだ。

ただし、内角に来るとわかったら、すぐに壁を取っ払って肩を開き、バットがスムーズに走る空間をつくってあげる。毎日(現ロッテ)などで活躍した山内一弘さんは、思い切って肩を開く打撃で「内角打ちの名人」となった。内角を得意とした城島健司(元阪神)なども肩を開いて球を捉えていた。重心を後ろ足に置き、前側の肩を開いてしっかりとフォロースルーを取る。「開く」と「重心」の2点を意識することで、内川の打撃がどう変わるかに注目したい。

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