2019年4月22日(月)

元看護助手の再審開始が確定 最高裁が特別抗告棄却

2019/3/19 11:09
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滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年、巡回中に男性患者(当時72)の人工呼吸器を外して殺害したとして殺人罪に問われ、懲役12年が確定、服役を終えた元看護助手、西山美香さん(39)の第2次再審請求で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は19日までに、検察側の特別抗告を棄却する決定をした。18日付。再審開始を認める判断が確定した。

今後、再審公判が開かれ、無罪が言い渡される公算が大きい。西山さんは取材に「過ぎ去ったことは仕方がないが、とにかくただうれしい」と話した。

17年12月の大阪高裁決定は「男性患者が自然死した疑いがある」として、そもそも事件ではなかった疑いにも言及し、再審の開始を決定。検察側はこれを不服として最高裁に特別抗告していた。

男性は03年5月、病室のベッドで心肺停止状態で発見された後に死亡。西山さんは任意の捜査で自白し、滋賀県警が04年に殺人容疑で逮捕した。公判で無罪を主張したが、大津地裁は懲役12年を言い渡し、07年に最高裁で確定。17年8月に服役を終えた。

最初の再審請求は地裁から最高裁まで全て退けられ、12年に申し立てた2度目の再審請求も大津地裁が15年に棄却。西山さん側が即時抗告した。即時抗告審では、死因と自白の信用性が争点となった。

確定判決は男性の死因を「人工呼吸器が外され、低酸素状態が生じたため」としたが、大阪高裁は即時抗告審の決定で、弁護側が新たな証拠として提出した医師の意見書などから、不整脈が原因で死亡した可能性を無視できないと指摘した。

「人工呼吸器のチューブを外し、患者を殺害した」とする西山さんの自白についても、警察官や検察官に迎合して虚偽の供述をした可能性があるとし、「犯人と認めるには合理的な疑いが残っていると言わざるを得ない」と結論づけた。

◇  ◇

■相次ぐ再審無罪 「自白偏重」の過誤再び
 再審請求では「自然死」の可能性が浮上したことに加え、過去の再審事件と同様、自白の信用性にも疑問が呈された。
 当初、滋賀県警は人工呼吸器のチューブが外れたのに看護師らが気付かず、患者が死亡したとの業務上過失致死事件とみて捜査した。だが西山美香さんが「呼吸器を抜いた」と自白し、殺人事件に発展。目撃者不在の中、公判でも自白の信用性が争点となった。
2017年12月の大阪高裁の決定は、アラーム音の有無やチューブを外した経緯など核心部分で供述が変遷し、誘導や迎合の可能性があるとして、信用性に疑問があると結論づけた。
 足利事件や東京電力女性社員殺害事件など、再審で無罪が確定する事例が相次ぐ。DNA鑑定など新たな客観証拠の提示をきっかけに、捜査段階の自白の信用性の判断も覆ることが繰り返されてきた。
 過酷な取り調べで自白を強いるような「自白偏重」の捜査手法は姿を消したとしても、なぜ捜査や公判の段階で、自白の矛盾やほころびに気付くことができなかったのか。捜査・司法当局が積極的に検証する姿勢が求められている。

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