2019年4月20日(土)

五輪で展示場不足、解消できず「商談・PRどこで」

2019/3/19 1:21
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2020年東京五輪・パラリンピックまで500日を切る中、首都圏の大型展示場を使えなくなったイベントの主催者などが対策に懸命になっている。東京ビッグサイト(東京・江東)や幕張メッセ(千葉市)に代わる施設は確保できず、時期をずらしたり会場を地方に移したりと対応に追われる。製品PRや商談の機会を失う中小企業も危機感を募らせている。

東京ビッグサイトは五輪前後の来年5~9月は使用できない。

「展示会が例年と同規模で開催できるよう、強く要望する」。イベント運営会社などでつくる日本展示会協会(東京)は五輪が迫る中、こんな訴えへの賛同者を募っている。1月中旬時点で15万筆の署名が集まった。

同協会によると、ビッグサイトの利用制限で200以上の展示会が中止や会場変更を迫られ、8万社以上に影響が出る可能性がある。代替施設の確保などは極めて難しい情勢だが、担当者は「利用制限の期間を短くできないか求めていきたい」と話す。ビッグサイト所有者の東京都や政府へ、引き続き陳情していくという。

東京大会でメディアセンターとして活用されるビッグサイト。改修工事で4月から一部が閉鎖され、近隣に仮設施設が設けられる。7月にはビッグサイト内に新たな展示棟も開くが、合計面積は2割狭くなる。大会期間を含む20年5~9月は全体が使えなくなる。

毎年4月にビッグサイトで開いている「フラワードリーム」は19、20両年は中止することになった。フラワーデザインのコンテスト、花の販売会などが開かれ、2日間で5万人近くを集める人気イベント。主催者は「首都圏の他施設も当たったが(受け入れ)枠がほとんどなかった」と肩を落とす。

イベント主催者や企業は対策に懸命だ。国内外の包装資材会社など約700社が出展する「東京国際包装展(TOKYO PACK)」は、開催を20年10月から翌21年2月に延期することを決めた。包装業界では例年2月ごろには別のイベントがある。担当者は「いつも通りの出展数が確保できるか心配」と、日程の周知に知恵を絞る。

ビッグサイトの展示会に年2回出展している相模原市の中小機械関連メーカーの男性社長(69)も「展示会は売り込みをする絶好の機会だった。(売り上げが急減する)崖が目前に迫っている」と気を引き締める。営業担当者は5人と少なく、「売り上げの穴埋めを目指して自分も営業に加わっている」と明かす。

幕張メッセもフェンシングやレスリングの会場になるため、20年4月下旬~9月中旬はイベントなどに使えない。ここで例年、5月の大型連休に開く「ペット博」は首都圏で代替会場が確保できず、20年に静岡市で開くことになった。東京からは遠く、主催者は「来場者は半分になる」と危機感を募らせる。

コンサートで使われることが多いさいたまスーパーアリーナ(さいたま市)も、バスケットボールの会場になり、仮設工事などで数カ月間、使えなくなる見通しだ。

目白大メディア学部の岡星竜美特任教授(イベント学)は「展示会やイベントでの収益を当て込んで経営している会社も多い。このような会社を経営面でサポートする仕組みを検討する必要がある」と話している。

■海外より面積狭く ビッグサイトは78位

首都圏で大規模イベントの会場が不足する背景には、もともと展示場の面積が少ないという事情もある。

日本展示会協会がまとめた展示会場面積の世界ランキングによると、2019年3月時点で東京ビッグサイト(9万7000平方メートル)は78位だった。国内で2番目に広い幕張メッセ(7万2000平方メートル)は112位。「あまり知られていないが、日本の展示会場の面積は世界的にみると狭い」と同協会の担当者。

最も広いのはドイツ・ハノーバーの展示会場で46万6千平方メートル。2位は中国・上海の施設で40万4千平方メートルだった。中国は上位10以内に3会場がランクインする。

国内では1996年の東京ビッグサイトの完成以降、大規模な展示会場は造られておらず、「世界的なイベントの開催地が取って代わられている」(同協会)という。

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