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イチロー、まだまだレジェンドにならないで
編集委員 篠山正幸

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2019/3/19 6:30
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一方、16日の会見では厳しい現実と向き合う姿もうかがえた。

イチローといえども1年のブランクを克服するのは容易でなく、オープン戦では調子が上がらなかった。「当たり前のように結果を出し、当たり前のようにここ(開幕戦の場)にいる状況をつくりたかった。実際は(そう)ならず、大変苦しんだ。キャンプの結果を踏まえたら、ここにいることはありえない」と、率直に話した。

デビュー当時からイチローをウオッチしてきた野球評論家の権藤博さんは「試合に出ることを想定して練習するからこそ緊張感が出る。試合に出ないと決まっていながらやる練習で、レベルを維持するのは難しい」と指摘する。

イチローは16日、練習を前に子どもたちに囲まれ笑顔を見せた=共同

イチローは16日、練習を前に子どもたちに囲まれ笑顔を見せた=共同

「称号」を断固として拒否

引退の時期はわからないとしつつ、イチロー自身、意識しないわけにはいかないようだ。「12年のシーズンにニューヨーク(ヤンキース)へトレードとなり、それからは毎日その日、その日を懸命に生きてきた。マイアミ(マーリンズ)でも同じ。メジャーは厳しい世界で、いつチームから(解雇などの)通達がくるかわからない」

ヤンキースに移ってからは毎日試合に出て当たり前、という環境が一変した。マーリンズでは代打で控える日々が続いた。安打という「空気」を吸って生きてきた人にとって、どれだけつらい日々だったか、想像もできない。いや応なしに、いつか区切りのときがくることは頭の片隅に置かざるをえなかったことだろう。

「(日本での開幕シリーズを)1週間後にはもう振り返ることになる。一瞬一瞬を刻み込みたい」とイチローは話した。いま、この場にいることは自分にとっての「大変大きなギフトだということです」とも。言葉の端々にドキドキさせるものがあった。

現実を見据えないわけにはいかないが、アスレチックス戦で複数安打を記録し、大復活のサプライズ、とはいかないものだろうか。

「レジェンドって何か変な感じですよね。よく最近聞きますけれど、ばかにされたみたいな感じがする」と話したのは16年、メジャー通算3000安打を記録したときのことだった。いよいよレジェンドの仲間入りだが、との質問に答えたもので、「終わった人」のニュアンスのある「称号」を断固として拒否したのだった。

まだまだレジェンドにならずにいてほしいものだ。

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