2019年5月26日(日)

セーシェル副大統領、インドとの基地建設「断念」

南西ア・オセアニア
中東・アフリカ
2019/3/18 8:03
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西インド洋の群島国家セーシェルのビンセント・メリトン副大統領兼外相は、インドとの間でいったん合意した海軍基地の共同建設を「断念した」と明らかにした。セーシェルの議会は与党が少数派で、多数派の野党が外国との共同建設に反対したため。共同建設の見送りで両国の距離が広がれば、この地域で勢力圏の拡大を競うインドと中国の関係にも影響する可能性がある。

セーシェルのメリトン副大統領兼外相

都内で日本経済新聞の取材に応じた。基地建設は断念せず「セーシェルの資金でわが国のための施設を造る」と述べた。

セーシェルのフォール大統領とインドのモディ首相は2018年6月、セーシェル南西端のアサンプション島に海軍基地を共同建設することで合意した。アフリカ大陸東岸に近い軍事上の要衝で、喜望峰の南方を通りインド洋と大西洋を結ぶシーレーン(海上交通路)に臨む。

インドは同国を祖国とする「印僑」と呼ばれる移民の子孫が多い東アフリカ諸国との貿易が盛んで、セーシェルとの関係を強化すれば、安全保障上の得点になる。一方、中国は同国の広域経済圏構想「一帯一路」を発展させるためインド洋で存在感を高めようとしている。基地の共同建設が実現すれば、セーシェルへの影響力でインドが一歩リードするはずだった。

セーシェルの軍事力は小規模で、総兵力は400人程度。このうち沿岸警備隊が半数を占める。同国には海軍がないため、新設する基地は沿岸警備隊が使用するもようだが、メリトン氏はインタビューで、中国を含む外国の軍隊に基地の使用を許す可能性を示した。

海上警備などでインドとの協力を続ける考えを明らかにしたうえで、基地の利用は「インドだけでなく(旧宗主国の)フランスや英国などあらゆる国に開かれている」と述べた。中国も「当然、含まれる」と明言。一帯一路に積極参加する姿勢だ。既に中国の支援で陸上のトンネル建設などが進んでいると明かした。

セーシェルは地域大国インドの伝統的な友好国とみられがちだが、実際には全方位外交で各国の支援を得てきた。セーシェルは中印の勢力争いの渦中にあるが、メリトン氏は「中印の間で押しつぶされず、独自に国際社会の荒波を渡っていく」と主張した。

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