2019年3月24日(日)

フィリピン、深刻な水不足 100万世帯が3カ月断水に

東南アジア
2019/3/16 7:08
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【マニラ=遠藤淳】フィリピンが深刻な水不足に陥っている。首都マニラでは一部のダムの貯水量が21年ぶりの少なさとなり、100万世帯超を対象とする計画断水が始まった。断水は3カ月続く見通し。水道会社は太平洋東部の海面水温が高くなる「エルニーニョ現象」の影響で降水量が減ったとしている。農作物が被害を受けるなど経済に影を落としつつある。

断水のため、バケツを手に給水車に集まる人々(15日、マニラ)=AP

マニラ東部で水道事業を手がけるマニラ・ウオーターは14日、管轄する全域で1日6~21時間の断水を始めた。影響を受けるのは100万世帯超の約600万人。断水時間が最も長い地域では、水が供給されるのは午後2時から同5時までの3時間にとどまる。同社は雨期に入るまで3カ月続くとの見通しを示す。

街中では、生活用水を確保しようと、バケツを持った多くの市民が給水車に殺到する姿が見られる。別の水道会社が管轄するマニラ西部では断水になっていないため、水が出る家を訪ね歩き、分けてもらう人も多い。政府は「節水し、パニックにならないように」と呼びかけている。

南部ミンダナオ島などでは干ばつによる農作物への被害も拡大している。農業省の11日までの調べでは、トウモロコシやコメなど約2万3000トンが収穫できず、約4億6400万ペソ(約9億8000万円)の被害が出た。ING銀行マニラ支店のエコノミストは「低下しつつあったインフレの上昇圧力となる」と指摘する。

現在は乾期だが、今年の降雨量は特に少なく、2、3月はほとんど雨が降っていない。このため、マニラ・ウオーターが水源の1つとしているラメサ・ダムの水位が危機的とされる水準以下に低下。1998年以来の低さになった。ドゥテルテ大統領は15日、別のダムからの水道供給を増やすよう指示した。

マニラ・ウオーターなどはラメサ・ダムの貯水量が減ったのはエルニーニョ現象の影響だと説明する。世界気象機関(WMO)は2月末、3~5月に50~60%の確率でエルニーニョが発生すると発表している。エルニーニョが発生すると、アジアの各地域で異常気象に見舞われるとの報告がある。

ただ、他のダムでは貯水量が危機的水準を下回るまで減っておらず、政府や水道会社の需要見通しや対策が甘かったとの指摘も出ている。政府系の首都圏水道局の幹部は地元メディアに「ダムの新設計画はマルコス政権時代から提案されていたが、反対が多く実現していない。政府にも非がある」と認めた。

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