2019年5月23日(木)

統一選前半、11道府県で知事選 福岡や福井で自民分裂

統一地方選2019
地域総合
2019/3/18 0:30
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統一地方選の前半戦が4月7日投開票で実施される。このうち3月21日が告示日の知事選は11道府県で争われる。北海道は唯一の与野党一騎打ち、福岡県や福井県など4県は保守分裂となる見通し。大阪都構想の実現をかけて大阪維新の会が大阪市長と立場を入れ替えてダブル戦に打って出る大阪府を含め、激しい選挙戦となりそうだ。

札幌市内で設置された北海道知事選などのポスター掲示板(15日)

札幌市内で設置された北海道知事選などのポスター掲示板(15日)

●北海道

北海道は自民、公明が前夕張市長の鈴木直道氏(38)を推薦。立憲民主、国民民主など野党は統一候補として元衆院議員の石川知裕氏(45)を擁立し16年ぶりの新人同士による対決となる。今夏の参院選の前哨戦として両陣営が総力で臨む。

自民が候補者を絞るまでには曲折があった。高橋はるみ知事の5選不出馬で後継と目された鈴木氏だが、「若すぎる」などとし一部の経済団体や市町村長が道内出身の現役官僚を強く推した。

最終的には財政再生団体の夕張市に飛び込み、30歳から市長を務めた鈴木氏の知名度を選んだ。14日に示した公約では企業版ふるさと納税などを活用した「稼ぐ道政」や移住促進、食の強化などを掲げ、「躍動する北海道の扉を押し開けていきたい」と力を込める。

一方、野党側も迷走の末、衆院議員を3期務めた石川氏支援でまとまった。石川氏は公約で首長や企業人らとの「北海道経営会議」の創設や脱原発、統合型リゾート反対などを表明。「国に依存するのではなく、私たちで考え決めていく」と道民参加の自治を訴える。

石川氏は14年に政治資金規正法違反で有罪判決が確定。有権者がそうした経緯をどう受け止めるかも焦点となりそうだ。

●福岡県

福岡県は与野党相乗りの過去2回の知事選と一変し、現職と新人の支援で自民が分裂した。2期8年の県政の継続か刷新かが争点だが、県政界の大御所による覇権争いの様相も呈している。

3選をめざす現職の小川洋氏(69)は過去2回の知事選で自公や県財界など幅広い支援を得た。ところが16年の衆院補選で麻生太郎副総理兼財務相が推す候補に小川氏が中立の立場をとったころから、麻生氏や自民県議団と関係が悪化した。

自民県連は18年末、元厚生労働官僚の武内和久氏(47)の擁立を決定。党本部も19年1月末には県連が求めた武内氏の推薦を決めた。

小川氏は主要政党への推薦願を取り下げ、政党色を消す方針に転換。3月2日の支援団体の設立集会には約2500人が集まった。「県民党」を掲げた小川氏は「県民の皆様のために働かせていただきたい」と訴えた。地元の大物自民OBの山崎拓氏や古賀誠氏の支援も得て組織固めを急ぐ。

武内氏も前知事の麻生渡氏を後援会長に迎え、「現状維持か、若い行動力で福岡を前進させようという未来への挑戦か」と県政刷新を強調する。

共産党県委員会副委員長で同党推薦の篠田清氏(70)も出馬表明した。

●福井県

福井県も保守分裂の構図。5選を目指す現職の西川一誠氏(74)と前副知事で自民推薦の杉本達治氏(56)、共産党県書記長の金元幸枝氏(60)が立候補を表明した。

西川氏と杉本氏は総務省OB。一時は上司と部下でもあった。政策面で大きな違いはないが、西川氏は「実績」、杉本氏は「若さ」を強調し、自民が割れて両氏を担ぐ。

党本部の推薦を巡り、18年11月、自民福井県連が執行部会で杉本氏の推薦を求めることを決めたが、西川氏派の県議が反発。県議25人のうち15人が新会派を立ち上げた。2月15日に杉本氏に推薦が出たが、県内市町の首長も支持が分かれた。

分裂は県政界以外にも波及。西川氏は県経済団体連合会や連合福井の推薦を受けるなど経済界、労働界を中心に支持を固める。一方、県建設業協会は早い段階で杉本氏の推薦を打ち出した。これに対し一部企業は別の政治団体を立ち上げて西川氏への支持を示す。

会員にあたる盟友を約3万5千人抱える県農政連は杉本氏の推薦を決めた。しかし、西川氏の出身地など一部のJAは西川氏の支持に動く。(小口道徳、江里直哉、塩崎健太郎)

■大阪はダブル選、多様な構図で投票率にも注目

統一地方選の口火を切る11知事選の対決構図は地方政界の今を映し出す。与野党対決が北海道だけなのは国政での自民1強の現れだろう。その自民党が地盤の固い西日本の4県で分裂選挙を迎える事態は「ポスト安倍」に向けて地方組織で主導権争いが始まりつつあることをうかがわせる。

急きょ加わった大阪ダブル選挙は「大阪与党」といえる大阪維新の会が大阪都構想を巡って膠着する政局の打開に向け、かつての小泉純一郎首相の郵政解散のように、看板政策の信を問うため選挙に打って出た形だ。

住民生活に密着し安定した行政運営が求められる自治体で、国政のように選挙に踏み切ることには賛否がある。ただ、東京と大阪の2大知事選が抜けて注目度が落ちていた統一選への関心を高める効果は期待できる。

前回は10知事選のうち、自民党と旧民主党の与野党対決は北海道、大分だけだった。6県は与野党相乗りで、2県は民主党が擁立を見送り、選挙戦は盛り上がりを欠いた。投票率は対決型の北海道、大分は上がったが、7県で下がり、うち4県が過去最低を記録。知事選全体では47%と初めて5割を割った。

今回は与野党対決、自民分裂、維新対反維新と構図は様々で、有権者の選択肢が狭められる相乗りが減ったのは望ましい。各地で活発な論戦が展開され、投票率が上向くことを期待したい。(編集委員 斉藤徹弥)

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