広島駅新駅ビル25年春開業 2階に路面電車乗り入れ

広島市、JR西日本、広島電鉄の3者は15日、広島駅を駅ビル建て替えも含めて再整備し、2025年春に開業すると発表した。駅ビルは地上20階建てでホテルと映画館を併設、駅2階中央に路面電車が乗り入れる。JR西管内では駅の規模は延べ床面積で大阪駅、京都駅に次ぐ3番目。中国地方の「陸の玄関口」として街の活力とにぎわいの創出につなげる。

JR西日本の駅ビル建て替えの事業費は非公表。路面電車が乗り入れる南口広場の空間整備の総事業費は155億円。
JR西日本は南口の駅ビル「ASSE」(アッセ)を20年3月末で閉館する。4月から1年間をかけて解体、4年間で新設する。新たな駅ビルの高さは100メートル、延べ床面積は11万1千平方メートル。
物販や飲食などの商業施設は、地下1階の一部と2階から6階までの約2万5千平方メートル。隣接する既存の駅ビル「ekie」(エキエ)の店舗面積を加えると約3万6千平方メートルになる。中国SC開発(広島市)が運営、専門店街としてテナントを誘致する。
新駅ビル西側の7階から20階までの高層階に宿泊主体型のホテル「ヴィスキオ」を開業する。部屋数は400室規模。広島を訪れるインバウンド(訪日外国人)など観光客の需要を見込む。東側には映画館が入り、松竹マルチプレックスシアターズ(東京・中央)が広島県内に初出店する。駅ビルに直結する駐車場(約500台)に加え、駅北西に別棟で約400台の駐車場を設ける。
駅ビルの2階で路面電車が乗り入れる広場は、自然の光や風を多く取り入れる。広島駅の新幹線口改札や中央口改札との間を段差なく移動できる。広場からは北口と同じようにペデストリアンデッキ(歩行者専用通路)を設け、百貨店の福屋、ビックカメラ、エディオン蔦屋家電の各施設に2階で接続する。駅ビルの前面には駅のシンボルとして、平和を願う白色の折り鶴をモチーフにした大屋根を設ける。
広島電鉄は駅ビル開業や広場の完成と同時に、路線を変更する。広島駅を出発して電停「猿猴橋町」を通る従来のルートを廃止し、広島駅から駅前大橋を経由するルートを新設。運行時間を短縮する。途中に電停「松川町」を設ける。廃止ルートは線路を撤去する。駅に乗り入れない市内中心部の循環ルートの運行も始める。
路面電車は高架区間に架線を引かずすっきりとした空間にする予定だったが、開業当初は架線は必要になるとして開業後の実現を目指す。
JR西日本によると広島駅の1日あたりの乗降客数は15万人で増えている。広島市、JR西日本、広島電鉄の3者が14年9月に駅南口広場の再開発に合意し、具体的な計画を検討してきた。