クアルコム特許契約、排除命令を取り消し 公取委

2019/3/15 15:03 (2019/3/15 16:41更新)
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第3世代(3G)携帯電話に必要な通信技術の特許の使用契約を巡り、独占禁止法違反(不公正な取引方法)で排除措置命令を受けた米半導体大手クアルコムの審判で、公正取引委員会は15日、「公正な競争を阻害したと認めるに足る証拠はない」として、命令を取り消す審決を出したと発表した。審決は13日付。

公取委の審判で命令がすべて覆されるのは異例で、2012年6月に審決が出た日本音楽著作権協会(JASRAC)の著作権使用料の徴収を巡る事件以来となる。クアルコムの不服申し立てにより命令自体は執行が停止されてきた。

取り消されたのは09年9月の排除措置命令。公取委は、クアルコムが00~01年、NECシャープなど国内メーカー18社と結んだ3Gの端末、基地局向けの通信技術の使用契約について取引相手のビジネスを不当に制限する「拘束条件付き取引」に当たると認定した。

具体的には▽メーカーがクアルコムの特許を使う場合は使用料を払う一方、クアルコムは各社の特許を無料で使える「無償許諾条項」▽クアルコムの特許を利用する各国の企業間で特許侵害があっても訴訟などで争わない「非係争条項」――の2点が問題とされた。

審決は無償許諾条項について、メーカーにはクアルコムの特許を使えるという契約上の利点があり、「対価がない無償の契約とはいえない」と判断。非係争条項については、他社の知的財産権を利用できる対価があると指摘。排除措置命令は、クアルコムの義務やメーカー各社のメリットを考慮しておらず不適切だったと結論づけた。

審判は、公取委の命令に不服があった際に公取委職員の審判官が審理する制度。「公取委が裁判官役を担うのは中立性に疑問がある」との批判があって13年の独禁法改正で廃止されたが、クアルコムは09年に審判を請求していたため、審理が続いていた。

クアルコムは通信技術の特許を多数持つほか、スマートフォン向け半導体で高いシェアを誇る。端末メーカーなどとの取引を巡り、海外の競争当局が違反行為を認定した例もある。

公取委は15日、「命令の当否を審判で慎重に判断した結果で、制度が適切に機能した結果の表れだと考えている。今後とも適切な法執行に努めて参りたい」とのコメントを出した。

クアルコムはホームページ上で「不適切な点は一切ないと公取委が結論づけたことに満足している」などとする声明を発表した。

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