2019年3月21日(木)

日銀総裁「所得と支出の好循環続く」 景気に強気演出

経済
2019/3/15 14:10 (2019/3/15 15:33更新)
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日銀の黒田東彦総裁は15日の金融政策決定会合後の記者会見で「所得と支出の好循環が続いていく従来のシナリオは変わっていない」と強調した。景気の先行きに懸念が強まるなか、強気の姿勢を演出して追加緩和観測をけん制した格好だ。ただ、日銀が描く景気拡大シナリオは足元で減速する中国経済の回復を前提にしたもので危うさも伴う。

決定会合では「緩やかに拡大している」とする景気の総括判断を据え置き、金融緩和策の維持を決めた。ただ「増加基調にある」としていた輸出、生産の判断を引き下げた。輸出は「足元では弱めの動きとなっている」、生産は「緩やかな増加基調にある」と慎重な見方を示した。

海外経済は「着実な成長」から「緩やかに成長」と表現を変更。黒田総裁は「海外経済の減速が輸出、生産に影響を与えている」と述べた。

中国経済の減速で日本企業の輸出に陰りが出ており、半導体などの生産活動にも影響が出始めている。日銀算出の実質輸出は1月に前月比5.2%低下し、鉱工業生産指数は1月まで前月比で3カ月連続で下がった。

それでも総括判断を据え置いたのは、足元の内需が「設備投資は順調で、消費も振れを伴いながら堅調に推移している」(黒田総裁)うえ、生産や輸出の落ち込みが一時的なものかどうか見極める必要があるためだ。

日銀は景気対策などによって中国経済の減速が落ちつき、いまのところ19年後半は回復基調に戻るとみている。黒田総裁は「中国では大規模な景気対策がすでに決定し、実行されつつあり、(中国経済が)どんどん減速していく状況にはない」とする。

15日に閉幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では2兆元(約33兆円)規模の減税と社会保険料下げなどの経済対策が打ち出された。

民間エコノミストの間でも、中国経済が持ち直すとの見方が多い。日本総合研究所の関辰一氏は「政府の内需刺激策で急激な失速は回避できる」とみる。

ただ、中国は地方政府や企業の過剰債務などの構造問題を抱えていて対策には限界があるとの見方や「年後半にトランプ減税でかさ上げされていた米国経済が失速する」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)との指摘もある。19年後半の回復は楽観視できず、市場では経済の減速が進めば「4月にも追加緩和を迫られる」(SBI証券の道家映二氏)との見方がなおくすぶっている。

麻生太郎財務相が日銀が掲げる2%の物価安定目標の柔軟化に言及したことについて黒田総裁は「物価安定の使命を果たすには(2%目標が)必要だ」と話した。同時に「2%に上がりさえすればよいというわけではない」とも述べ、賃金の上昇などが重要との認識を示した。

日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れに関しては現時点では保有割合は4%程度だとして「株式市場の機能へ影響を及ぼしていることはない」とした。そのうえで「買い入れについては副作用のないように引き続き行いたい」と話した。

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