ミカンで農業観光 高知に新会社、担い手育成も狙う

2019/3/15 6:00
保存
共有
印刷
その他

高知県物部川流域の観光まちづくり会社、ものべみらい(南国市)と同県香南市の果樹生産者が4月、名産のミカンを観光などに活用する新会社を設立する。収穫体験や県外への販促などを通じて農家の収入増と担い手育成を目指す。ブドウやトマトを栽培する井上石灰工業(同)などと組んで地元農業の活性化に取り組み、ビジネスモデルの全国展開も検討する。

ミカン栽培も収穫時期の人手不足が深刻という(香南市山北)

果樹生産者やものべみらいなど7機関が連携協定を結んだ(14日、香南市)

新会社の名称は「山北みらい」で、ものべみらいが75%、香南市山北地区の農家らが加入するJA高知県香美地区果樹部の露地みかん部会・果樹女性部会が25%を出資する。2者と香南市、JA高知県など関係する7機関が14日、香南市で連携協定を結んだ。

香南市には耕作放棄地が約95ヘクタール(2018年)あり、8年間で約3倍に増えた。耕作地面積の約5%にあたる。ミカンの名産地として知られる山北地区でも農家の高齢化による担い手の減少と休耕地拡大が進む。

新会社の副社長に就く近森秀好・露地みかん部会長は「収穫期の人手不足が特に大きな課題。収入を安定させて後継者を呼び込むために外部と協力する」と話す。

新会社は農家から休耕地の管理委託を受け、果樹や野菜を生産する。卸売りや消費者への直販を手掛け、特に県外でのブランド力向上や販促を進める。同地区では規格外のミカンを使って「山北みかんバター」を商品化した実績があり、新たな加工品の企画も強化する。

体験型観光にも力を入れる。ミカンやブドウ、野菜の収穫といった農作業体験のほか、みかんバターやワインづくりなどもメニュー化予定だ。物部川地域の観光地や宿泊施設と組み合わせたツアー商品も提供する。

担い手育成では新たな手法を取り入れる。香南市が採用した地域おこし協力隊員に新会社が管理する圃場で農作業を担当してもらう。協力隊の3年間の任期後も農水省の補助金を使って独立準備が整うまでサポートする。就農希望の移住者に地域全体の農業の後継者になってもらう。

年間を通じて作業を平準化し収入を安定させるため、井上石灰工業の圃場でもアルバイトとして受け入れる。栽培技術の指導は生産者やJA高知県が担当する。4月から3人体制で始め、当面の目標として10ヘクタールの耕作放棄地の再生を目指す。

ものべみらいは、地域経済活性化支援機構(REVIC、東京・千代田)と四国銀行によるファンドが16年に設立した。両者は今回の取り組みを人材や資金面で支援する。REVICの渡辺准専務は「例えば高知の農業のように、地域の基幹産業と観光を融合した活性化モデルとして全国に広げていきたい」と話す。(高田哲生)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]