グーグル、悪質広告を18年に23億件削除 AIを駆使
【シリコンバレー=中西豊紀】米グーグルは13日、詐欺に関係するなど同社の規約に反する悪質なネット広告を2018年に23億件削除したと発表した。17年と比べると削除件数は約3割減った。悪質広告は手口が多様化し、摘発はいたちごっこの状況が続く。グーグルは「取り締まりには政府による規制も不可欠」と、官民レベルでの取り組みを呼びかけている。
グーグルは毎年、自社の規約に照らして摘発対象となった悪質広告の数を公表している。18年は23億件で、17年の32億件からは減った。一方で16年の17億件からは増えており同社は「引き続き膨大な数の悪質広告がネット上に存在している」としている。
例年多いのは詐欺まがいの広告。18年は保釈金を用立てする資金支援や麻薬中毒の低額リハビリなどをうたいつつ、実際は社会的な弱者から多額のお金を奪う組織の広告が新たに見つかった。チケットの転売や仮想通貨がからんだ詐欺広告も多かった。広告費を企業から不正に抜き取る高度な詐欺も発覚した。
グーグルは悪質広告の発見に人工知能(AI)を活用しており、広告単体だけでなくその出稿者のアカウントにまでさかのぼった摘発を増やしている。18年の削除件数が減った理由としてグーグルは「アカウント段階での摘発が増えた17年に、大量の広告削除が進んだため」としている。
ただ、詐欺をはたらく組織は手口を巧妙化させており悪質広告の完全排除は難しい状況にある。グーグルとして「不正かどうか」の線引きも難しい案件もあるという。米国では違法なチケット転売を規定する法律が17年にできたことで関連広告も摘発が進んだ。グーグルは「各国での規制の制定が民間による不正摘発を容易にする」としている。