2019年3月19日(火)

ゾフルーザ未投与の患者から耐性ウイルス検出

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BP速報
2019/3/14 15:44
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日経メディカル Online

国立感染症研究所(感染研)は、新規抗インフルエンザ薬であるバロキサビル(商品名ゾフルーザ)の耐性ウイルスが、同薬未投与の3人の患者から検出されたことを2019年3月12日に公表した。未投与例からの検出は初めてで、いずれもゾフルーザ投与例から感染伝播した可能性が示唆されている。

■投与例から感染伝播した可能性も

感染研によると、ゾフルーザ未投与例からゾフルーザ耐性ウイルスが検出された症例は以下の3例。

1例目は、18年11月に三重県保健環境研究所が、12歳児からゾフルーザ耐性ウイルス(I38T変異。A/三重/41/2018)を検出した。患者は、集団感染例ではなく、発症翌日に医療機関を受診しインフルエンザと診断された。この症例では、検体採取前にゾフルーザの投与を受けていなかった。

2例目として19年1月には横浜市衛生研究所が、インフルエンザで入院中の5歳児からゾフルーザ耐性ウイルス(A/横浜/88/2019)を検出した。この5歳児は、発症4日目に医療機関を受診し、オセルタミビル(タミフル)を投与され解熱を認めたが、発症7日目に呼吸器症状が現れ入院した。発症前に通園していた幼稚園で、インフルエンザの集団感染があったことが確認されている。入院した際に検体を採取されており、タミフル投与例でありゾフルーザは未投与だった。

同時期に、ゾフルーザ投与例の6歳児からもゾフルーザ耐性ウイルスが検出されているが、遺伝子配列の解析では、5歳児と6歳児から検出された耐性ウイルスは異なる配列で、2人の患者間での直接の感染伝播はなかったと判断されている。

なお、5歳児の方は、発症から4日目に母、5日目に父、6日目には姉が、それぞれインフルエンザを発症しており、家族内感染の可能性が出ている。耐性ウイルスが伝播したかどうかは明らかになっていない。

3例目は、19年2月に感染研において確認された。患者は生後8カ月の乳児で、ゾフルーザ耐性ウイルス(I38T変異、A/神奈川/IC18141/2019)が検出された。患児は発症翌日に医療機関を受診して、タミフルが投与された。受診時には38.9度だったが、タミフル投与翌日には37度台後半に、投与2日後には37度以下に下がったという。

検体採取前は抗インフルエンザ薬を投与されておらず、ゾフルーザ未投与例だった。発症前日に兄がインフルエンザを発症しゾフルーザの投与を受けていたことから、兄弟間での感染伝播の可能性が示唆されている。

感染研は、これらのゾフルーザ未投与の患者から検出された耐性ウイルス株は、他のゾフルーザ投与患者から感染伝播した可能性が示唆されるとの見解を示している。また、今シーズンに日本国内で検出されたゾフルーザ耐性ウイルスの解析から、耐性変異ウイルスの増殖能は感受性ウイルスと比べて十分保持されていることが明らかになったと結論。培養細胞ではI38T耐性変異ウイルスの増殖能は、変異を持たない野生型ウイルスと比べて低下することが報告されているが、「現在の流行株には適用されない可能性がある」(感染研)としている。

(日経メディカル 三和護)

[日経メディカル Online 2019年3月13日掲載]

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