2019年5月22日(水)

仮想通貨 規制強化にカジ、証拠金取引に網・弁済原資も義務づけ

経済
金融機関
2019/3/15 12:00
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政府が15日に閣議決定した資金決済法などの改正案では、仮想通貨の交換業者や取引の規制強化策を盛った。相次ぐ流出事件を踏まえ顧客への弁済原資の確保を業者に義務づけるほか、過度な投機につながる証拠金取引に新たに網をかける。決済手段という当初の位置付けを離れて投機の対象となっている仮想通貨の規制強化にカジを切り、利用者保護を徹底する。

改正案の柱は仮想通貨の流出リスクへの対応だ。交換業者に対し、インターネット上で保管する顧客の仮想通貨に相当する弁済原資の確保を義務づける。2018年1月に約580億円分の仮想通貨が流出したコインチェック事件を踏まえ、不正アクセスを防ぐためネットから隔離した「コールドウォレット」と呼ばれる安全性が比較的高い方法での管理も求める。

金融庁が世界に先駆けて交換業者に登録制を導入したのは17年4月。それまで野放しだった仮想通貨を業者側から監督するようになった。今回の改正では、新たに仮想通貨の取引そのものにも規制の網を広げる。

仮想通貨は新たに金融商品取引法上の規制対象にもなる。少ない元手で多額の売買ができる証拠金取引を外国為替証拠金(FX)取引と同じように規制するためだ。証拠金倍率(レバレッジ)の上限は内閣府令などで別途、定めるが手元資金の2~4倍程度になる見通し。自主規制団体である日本仮想通貨交換業協会によると、17年度の仮想通貨取引は69兆円で、うち8割は証拠金や信用取引が占めた。

激しい値動きに着目した投機的な取引が増え、含み損を抱えた個人投資家も多い。過度な投機を抑制し、個人が思わぬ損失を被ることがないようにする。仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)も規制する。

配当を出すなど投資とみなせるICOの取扱業者に登録制を導入し、風説の流布など不当な価格操作を禁止する。ICOは企業などが「トークン」と呼ばれるデジタル権利証を発行して投資家から資金を募るが、事業計画がずさんで詐欺まがいの案件も多いためだ。

仮想通貨という呼び名は「暗号資産」に変える。20カ国・地域(G20)会議などで使われている国際標準の表現に合わせ、円やドルなどの法定通貨と明確に区別し混同を防ぐのが狙いだ。ただ証券会社のように「第1種金融商品取引業者」という法律上の呼称とは別の呼び方が定着したものもある。意味が分かりにくい暗号資産の名称が根付くかどうかは不透明だ。

金融庁は当初、仮想通貨を決済手段と位置付けてマネーロンダリング(資金洗浄)対策のために交換業者に登録制を導入した。ただ投機の動きばかりが目立ち、決済手段としての有効性にも疑問符がつく。

一方で、仮想通貨はブロックチェーンという有望な技術が実用化されている数少ない例だ。利用者保護を徹底しつつ、技術革新にも目配りするきめ細かな行政手法が求められている。

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