英、87%の輸入関税ゼロに 合意なきEU離脱なら

2019/3/14 4:52
保存
共有
印刷
その他

【ロンドン=篠崎健太】英政府は13日、欧州連合(EU)から合意なく離脱した場合、金額ベースで輸入品全体の87%の関税をゼロにすると発表した。今はEUの一員として低税率になっているEU域外国との通商協定の結び直しが間に合わないなか、輸入コストが急に上がるのを防ぐ。対象には自動車部品などが含まれ、英・EU間で複雑な生産体制を築く自動車産業に配慮をみせた。

欧州大陸への玄関口である英南部ドーバー港=ロイター

暫定的な措置として「合意なき離脱」から最長で1年間適用する。これまで無税だった英・EU間の貿易にはEU離脱で関税が生じることになっていたが、英国側は大半の品目で税率をゼロとすることにより激変緩和を図る。多くのEU域外国にも適用される結果、関税ゼロの輸入品比率は足元の80%から高まる見通しだ。

対外競争力の弱い国内の産業や農家を守るため、肉類や乳製品、セラミックス製品といった一部については輸入関税を維持する。「市場環境の幅広い課題に直面している自動車産業を支援するため」として、乗用車の輸入には10%の関税をかけることにした。

英国がEUから合意なく離脱すると、英・EUは世界貿易機関(WTO)のルールに基づく通商関係に移行する。英政府はあくまでEUとの離脱合意の実現を優先する立場を崩していないが「あらゆる事態に備える」として臨時措置を決めた。

合意なき離脱で自動車部品には平均4.5%の輸入関税が想定されていた。今回の措置で英国外から仕入れる部品に関税が掛からなくなるが、自動車業界に歓迎の空気は乏しい。対EU輸出には関税がかかる見通しなうえ、通関手続きによる物流網の混乱リスクなども消えないためだ。

英自動車工業会(SMMT)のマイク・ホーズ会長は「壊滅的な悪影響を解決するものではない」とコメントし、合意なき離脱の可能性を排除するよう改めて求めた。

産業界からは、3月末の離脱予定日の直前に打ち出されたことにも不満が根強い。英食品飲料連盟のイアン・ライト最高経営責任者(CEO)は声明で「英国が3月29日のEU離脱に備えられていないことを印象づける。企業は2週間では対応できない」と批判した。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]