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競馬実況アナ日記

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開場70周年 阪神競馬場のメモリアルイヤー

2019/3/16 6:30
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3月24日の高松宮記念で始まる競馬の春のG1競走に向け、毎週のようにステップ競走が行われるこの時期は1年を通じて最もぜいたくな季節かもしれない、と思うことが多々あります。17日の阪神大賞典、スプリングステークスの10分間隔のリレーについては、特に強く思います。近年は毎年、このときを中山競馬場の実況席で過ごしながら、映像で見る3000メートルの長丁場、春の天皇賞の前哨戦に沸く場内、その興奮冷めやらぬまま迎える皐月賞トライアル。この流れは何ともいえない至福の時。今年もどんな興奮が待っているのか、今から楽しみでなりません。

国内のG1はこの後、西日本が舞台となります。24日の高松宮記念は、名古屋に隣接する愛知県豊明市の中京競馬場で行われる電撃の1200メートル戦。続いて31日には2017年にG1昇格を果たした古馬の中距離王者決定戦の大阪杯、3歳牝馬クラシック第1弾の桜花賞の2競走が、兵庫県宝塚市にある阪神競馬場で行われます。

阪神競馬場が開場した当時のスタンド全景

阪神競馬場が開場した当時のスタンド全景

大阪杯、桜花賞の舞台である阪神競馬場は、今年開場70周年という記念すべき年を迎えました。18年、福島競馬場が100周年を迎えて、その歴史にスポットライトが当たりました。また障害の絶対王者オジュウチョウサンの平地競走参戦などもあって、非常に盛り上がったのは記憶に新しいところです。今年の開催はまだ始まったばかりで、これから大レースが相次ぐ阪神競馬場が一体どんな盛り上がりを見せるのか。自然と興味が湧きます。

そんな中、現在の阪神競馬場をよく見てみると、様々な変化に気づきます。まずは最寄りの阪急電鉄・仁川駅から競馬場に向かう地下通路の装飾が、かつてのそれとはガラリと変わっています。阪神競馬場で70年の間に繰り広げられた名シーンが、左右の壁一面に大きな写真で飾られています。ふと歩みを緩め、それらをじっくりと眺めながら競馬場に向かうだけでも、心満たされた気持ちになるから不思議なものです。

阪急仁川駅と阪神競馬場を結ぶ地下通路を飾る名場面。TTGが激突した1977年宝塚記念

阪急仁川駅と阪神競馬場を結ぶ地下通路を飾る名場面。TTGが激突した1977年宝塚記念

地下通路に名馬や名勝負の数々

「この日に始まる、阪神競馬場70年の歴史。1949年12月3日・阪神競馬場開場」とある、当時のスタンド全景の写真に始まり、「ラストランを飾る、カミソリの切れ味」は62年の第3回宝塚記念を制したコダマ。「不良馬場にも健在、ナタの切れ味」は65年の第6回宝塚記念優勝のシンザン。「永遠の3強、TTG激突」は77年、第18回宝塚記念のトウショウボーイと、今や伝説となった名馬たち。そして私の世代(40代半ば)以上の人なら誰もがしびれたであろう「年度代表馬2頭、伝説の一騎打ち」と記された、96年の第44回阪神大賞典のナリタブライアン、マヤノトップガンの名勝負。「最強世代の予感、超光速レコード勝利」は、2000年の第17回ラジオたんぱ杯3歳ステークス(当時)のアグネスタキオンなど、その懐かしい記憶が鮮明によみがえる展示となっています。もちろん、その後の近年の名勝負も飾られており、18年の武豊騎手の中央通算4000勝達成まで、阪神競馬場を舞台にした70年の歴史を、存分に堪能できる壁面となっています。

ナリタブライアンとマヤノトップガンが競り合った96年阪神大賞典

ナリタブライアンとマヤノトップガンが競り合った96年阪神大賞典

また、地上に出てから門へと続く専用通路「サンライトウォーク」の壁面にも、阪神競馬場重賞列伝として過去の印象的な重賞レースが写真、コラム付きパネルで紹介されており、こちらも見ごたえ十分の内容となっています。70周年は展示だけではありません。開催ごとにメモリアル抽選会も行われ、歴史を感じられる様々な賞品が当たるチャンスもあるなど、競馬場に行けば歴史の重みや懐かしい思い出に浸れたり、例年と異なる楽しみ方ができたりする企画が盛りだくさんです。

アクセス抜群、独特なたたずまい

阪神競馬場について、私は中央の全10場の中でもそのたたずまいに、かなり独特な空気を感じています。パドックに大きな屋根のある構造が要因としては大きいのでしょう。ですが、中から見るときはもちろん、外から眺めたときも、宝塚の景色をバックに浮かぶまるで巨大要塞のようなスタンドで競馬が行われていることを不思議に感じることがあります。

アクセスのよさも阪神競馬場の大きな魅力だと感じています。大阪の中心地・梅田から阪急電鉄で乗り換え(西宮北口駅)はあるものの、仁川まで20分余りで到着できる便利さ。首都圏にある東京競馬場、中山競馬場ではまず考えられないですし、同じ関西の京都競馬場と比べても相当に恵まれていると思います。

ところが、この阪神競馬場は日々の入場者数がそれほど多くはありません。大阪杯、桜花賞、宝塚記念のようなビッグレース当日はさすがに相当な混雑となりますが、それ以外となると関西圏の人口を考えても少ない状況です。個人的には本当に不思議ですし、ある関東の調教師の方も以前、この事実にはかなり驚いていました。その理由として駐車場が少ない点、短い距離とはいえ西宮北口からの乗り換えがファンの心理的負担になっている点、立派な場外馬券発売所が梅田、難波、神戸といった街の中心地にあるなど、いろいろな理由が考えられます。しかしコースは広々としていて、距離などのバリエーションが豊富で美しいスタンドもあります。これだけの素晴らしい施設ですから、もっともっと多くの人に訪れて楽しんでもらいたいと思います。

阪神競馬場を訪れたことのない人もご無沙汰している人も、行ったことがないけれど行ってみたいと思っている人も、この70周年というメモリアルイヤーに是非訪れてみてください。歴史や素晴らしい施設に触れ、また行きたくなる、行きつけとなる場所が増えること間違いないと、私は思います。

(ラジオNIKKEIアナウンサー 中野雷太)

 各アナウンサーが出演、ラジオNIKKEIの競馬番組はこちらでチェック! http://www.radionikkei.jp/keibaradio2/

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