2019年6月26日(水)

"昆虫食"で世界を救え 見た目や味で工夫続々

2019/3/13 10:13
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バグモの松居佑典代表(左)と西本楓さん=共同

バグモの松居佑典代表(左)と西本楓さん=共同

栄養価が高く環境に優しく生産できる食料として、コオロギなどの昆虫を原材料にしたパンや栄養バーなどの食品が続々登場している。イナゴや蜂の子のつくだ煮のような昆虫そのままの見た目ではなく、チョコレートや抹茶の味で食べやすさも追求。昆虫食は世界の食料難の救世主と期待され、災害時の食料にも使える。日本でも抵抗感を乗り越えて普及を図ろうと取り組みが広がる。

バグモが開発・販売する「クリケット・バー」=共同

バグモが開発・販売する「クリケット・バー」=共同

黒っぽいブラウニーのようなものを口にすると、きな粉を混ぜたような食感と香ばしさが広がる。京都市のベンチャー「バグモ」が開発・販売する「クリケット・バー」。1本約50グラムにコオロギ50匹分の粉末が入っている。クルミやレーズンなども使って風味を引き立てており、普通のプロテインバーとほぼ変わりない。

バグモの松居佑典代表(32)は「スポーツをする人や健康に気を使う人がおいしく食べられるよう知恵を絞った」と話す。この1本で約10グラムのタンパク質に加え、必須アミノ酸や鉄分、カルシウムも豊富に摂取できる。

「大学シーズ研究所」が発売したコオロギの粉末を練り込んだパン=共同

「大学シーズ研究所」が発売したコオロギの粉末を練り込んだパン=共同

日本では長野県などの郷土食として以外にあまりなじみのない昆虫食だが、世界では牛や豚に代わる有望なタンパク源として注目されている。国連の予測では世界の人口は2050年には98億人に達し、中国やアジアの所得向上で肉類の消費拡大も見込まれる。将来的な食料不足への懸念は強く、国連食糧農業機関も昆虫食を推奨する。

食用のカブトムシなどを買える自動販売機=ディスカバー バルーン提供

食用のカブトムシなどを買える自動販売機=ディスカバー バルーン提供

背景には、畜産に比べてエコなことがある。牛肉を1キロ生産するにはトウモロコシなど約10キロの飼料が必要だが、コオロギの養殖なら同等のタンパク質を得るのに約2キロで済む。大量の飼料栽培で途上国の森林が伐採される現状も変えられる。

そうした思いから、松居さんは知人を通じて知り合い意気投合した神戸大3年の西本楓さん(21)と共同で18年5月にバグモを設立。11月に商品の発売にこぎ着けた。

徳島大発のベンチャー「大学シーズ研究所」(徳島県鳴門市)も18年12月に、コオロギ約30匹分の粉末を練り込んだパンを発売した。100グラムの缶入りで約5年保存でき、災害備蓄用にも使える。岡部慎司社長(43)は「食べても昆虫だとは分からない。まずは慣れてもらうことからだ」と強調。徳島大の三戸太郎准教授は「抵抗感をなくして普及の第一歩になれば」と期待する。

イナゴなどの昆虫料理を披露する大阪国際大の西岡准教授(大阪府守口市)

イナゴなどの昆虫料理を披露する大阪国際大の西岡准教授(大阪府守口市)

熊本市では18年11月、風船専門店「ディスカバー バルーン」に食用のカブトムシなどを買える自動販売機が登場し、毎月数百個と予想以上の売れ行きとなった。

大阪国際大(大阪府守口市)では毎年の「防災フェスタ」でイナゴなどを使ったクッキーを提供。西岡ゆかり准教授は「十分に肉や魚に代わる食材になる」と力説した。〔共同〕

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