幸せ運ぶミツバチ 育て フタガミ会長 二神昌彦氏(語る ひと・まち・産業)
高知の自然 守って発信

2019/3/13 12:00
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■高知県内でホームセンターや木造住宅工事を手掛けるフタガミ(高知県南国市)の二神昌彦会長(71)が高知の自然や人を見つめる目は温かい。ミツバチを増やしたり森の恵みを生かしたりする活動をしながら、高知での豊かな生き方を提案する。

 ふたがみ・まさひこ 1947年高知県須崎市生まれ、70年東海大工学部建築学科卒、関西土木入社。73年、二神木工へ。76年にフタガミに社名変更、取締役営業部長に。96年社長、2012年から会長。高知県内にホームセンターやカー用品店など32店舗を展開する。

ふたがみ・まさひこ 1947年高知県須崎市生まれ、70年東海大工学部建築学科卒、関西土木入社。73年、二神木工へ。76年にフタガミに社名変更、取締役営業部長に。96年社長、2012年から会長。高知県内にホームセンターやカー用品店など32店舗を展開する。

「『土佐の日本蜜蜂を増やそうプロジェクト』と銘打って、ミツバチの保護・増殖活動に取り組んでいる。ミツバチは環境変化に敏感で、農薬の使用などで数が減る一方だ。ミツバチがいなくなれば人間も生きられない。自宅や経営する店の庭など県内各地に巣箱を置いている。数を増やすために手狭になった巣から女王蜂を移動する巣分かれ(分蜂)で春は忙しい」

「10年ほど前に中学校の校長をしていた友人に誘われてミツバチ飼育を始めた。『百花蜜』と言われるように様々な花を飛び回って蜜を集める姿を見るのは本当に楽しい。そうして多くの花に受粉して植物を助ける。日本ミツバチが生きられる土地は植生も豊かだ。ハチが住んでくれる庭造りはやりがいがあるし、おいしいハチミツという恵みももたらしてくれる」

■自然や環境保全に取り組むきっかけになったのが自宅周辺の清掃活動だったという。

「カー用品販売のイエローハットを創業した鍵山秀三郎さんに学んで40代半ばから自宅周辺の掃除を始めた。それまで自分さえよければという考え方が強く悩んでいたが、自分よりも人の喜びを先にするという幸せを知った。1999年からは子どもたちと社員が一緒にトイレの清掃に取り組む『高知トイレ掃除に学ぶ会』を始めた。開催数は250回を超えた」

転機になった清掃活動は今も続けている

転機になった清掃活動は今も続けている

「大量の落ち葉を掃き集めるうちに、『炭酸ガスを酸素に変えてくれてありがとう』という気持ちが自然にわいてきた。森を守りたいという気持ちが高まり、森林組合とパートナー契約を結んだり植樹活動をしたりするようになった。高知在住のデザイナー、梅原真さんらと一緒に全国で最も森林率の高い高知の木材を生かす84プロジェクトもしている。高知は開発が遅れた代わりに豊かな森林が残った。これからはそれが価値となり強みとなる」

■事業で県外進出を考えたことはない。地盤である高知県に住む人の生活に寄り添う考えという。

「高知は地産地消がまだまだできる土地だ。ベースになるのはモノをつくる人も買う人もひとつの家族という考え方だ。モノを安く買いたたくことは結果的に自分たちも苦しめる。家業や小さな経営体でも飯が食え、豊かに子育てできる環境を大事にしたい。店でも、規模は小さくても天然素材を生かした環境にやさしい商品を積極的に扱う」

「人生100年時代と言われるようになり定年後の第二の人生をどうやって生きていくのか悩んでいる人も多いはずだ。例えば家庭菜園をしてミツバチを飼育する。食育を通じて地域の子どもたちにかかわり充実できるかもしれない。これからはそうした生活が実現できる土地に人はひかれ、集まってくるのではないか。今後も高知に住むことが豊かで幸せと思える人が増える手伝いをしたい」

■植物豊富、野生3000種以上

《一言メモ》日本国内には6000~7000種類の野生植物があるとされ、高知県ではそのうち3000種類以上が見られる。黒潮の影響を受けて温暖で雨が多く、海岸部から2千メートル近い山岳部までの垂直的な地形が多様な植生を育んだとみられる。こうした風土から世界的な植物学者、牧野富太郎博士(佐川町出身)も生まれた。

高知市の五台山には牧野博士にちなんだ県立牧野植物園がある。同植物園には展示館があり、今春には植物に触れて体験できる学びの場「ふむふむ広場」がオープンする。高知の自然や植物を知るにはもってこいの施設だ。園内にはフタガミが運営するミュージアムショップ「バイカオウレン」も入っている。

(高知支局長 高田哲生)

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