2019年3月24日(日)

富士フイルム、バイオ薬の製造会社を990億円で買収

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2019/3/12 17:54
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富士フイルムは12日、米バイオ医薬品大手バイオジェンの製造子会社を約8億9000万ドル(約990億円)で買収すると発表した。富士フイルムは従来、バイオ薬の開発製造委託(CDMO)で生産量が比較的少ない製品を手がけてきた。買収を通じて大型の製造設備を獲得し、患者数が少ない疾患向けの薬から大型薬まで、製薬会社の幅広い要請に応える。

記者会見する富士フイルムの古森会長(12日午後、東京都港区)

「タンクを大幅に拡充することで大量生産品にも対応できる。既存の技術と組み合わせこの分野(CDMO)で力強く前進できる」。富士フイルムホールディングス(HD)の古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO)は同日に都内で記者会見し、買収の意義を強調した。これまで2023年度で1000億円としていたバイオCDMO事業の売上高目標を、21年度に前倒しで達成する方針も明らかにした。

買収を決めたのはデンマークのバイオジェン・デンマーク・マニュファクチャリング(ヒルロッド市)。8月ごろの手続き完了を予定する。買収後もバイオジェンなどから製造受託を続ける。

バイオジェン・デンマーク・マニュファクチャリングはバイオ薬の原料となるたんぱく質を培養するタンクを6基持ち、容量も1基1万5000リットルと大型なのが特徴。富士フイルムの既存設備は2000リットルの中規模タンクが中心だ。従来は少量多品種の製造を受託してきたが、大型タンクを手に入れることで大型薬やバイオシミラー(バイオ医薬品の後続品)にも対応できるようになる。

ただ、この分野はスイスのロンザや独べーリンガー、韓国のサムスンバイオロジクスなどが先行し、それぞれ合計30万~40万リットル規模のタンク容量を持つ。買収後でも富士フイルムは合計15万リットルと規模の差は大きい。

富士フイルムでバイオCDMO事業を担う石川隆利取締役は「1リットルあたり生産効率は世界トップレベルで、競合に対しても優位に立っていると考えている」と述べた。タンク容量が少なくても世界大手に対抗できるとの考えを示した格好だ。

富士フイルムがCDMO事業の強化に動く背景には世界的な創薬のトレンド変化がある。従来は化学合成でつくる低分子薬が主流だったが、1990年代からは、より高い効果が見込めるバイオ薬の研究開発が活発になった。

17年の世界の医薬品売上高ランキングでは上位10品目のうちバイオ薬が6品目で合計約7兆円を占めた。CDMO市場も拡大が続き、調査会社のシード・プランニング(東京・文京)によると25年の世界市場規模は86億ドル(約9600億円)と16年の2.3倍になる。

富士フイルムは11年に米製薬大手メルクの製造子会社を買収してバイオCDMO事業に参入。現在英米に計3つの生産拠点を持つ。需要の拡大を受けて設備投資を増やしており、1月にも米国拠点に20年末までに100億円を投じると発表した。

(秦野貫)

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