2019年8月20日(火)

米、段階的な非核化を否定 経済的な実利与えず 南北事業にも否定的

2019/3/12 18:00
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【ワシントン=永沢毅】米国のビーガン北朝鮮担当特別代表が11日、北朝鮮の非核化の進め方について「段階的に進めるつもりはない」と表明した。非核化の進展に応じて制裁緩和などの見返りを与える手法を明確に否定し、見返りに柔軟ともとれた従来の姿勢を軌道修正した形だ。トランプ政権は南北経済協力の進展も認めない方針で、経済的な実利を優先する北朝鮮との交渉は困難さが増している。

ビーガン氏がワシントンでの講演で語った。北朝鮮が求めてきた「段階的な非核化」に応じない方針は「トランプ大統領も明確だ。政権内で完全に一致している」と述べた。

約1カ月前のビーガン氏の発言のニュアンスはやや異なる。「北朝鮮が全てをなし遂げるまで私たちは何もしないと言ってきたわけではない」。同氏は1月末の講演で見返りの提供に柔軟ともとれるこんな発言をしていた。18年6月のシンガポールでの初の米朝首脳会談で合意した新たな米朝関係の構築や完全な非核化など4項目を「米国は同時に、かつ並行して追求する用意がある」とも述べていた。

元米政府高官は1月のビーガン氏の発言を「膠着する非核化交渉を前に進めるには、アメの提供もやむを得ないとの判断があった」と解説する。朝鮮半島の終戦宣言や平壌への連絡事務所の設置などが取り沙汰された。

トランプ氏は2月末の会談で、寧辺(ニョンビョン)の核施設の廃棄と引き換えに11件の国連制裁のうち5件の解除を求めた金正恩(キム・ジョンウン)委員長の提案を拒否した。制裁の完全な解除に応じる代わりに全面的な非核化に取り組むよう求めたが、金正恩氏は受け入れなかった。

かつて北朝鮮への先制攻撃論を主張したボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)や交渉の推進役であるポンペオ国務長官は、今回の会談前にトランプ氏が大幅な譲歩をする事態を懸念していたとされる。こうしたブレーキ役がトランプ氏の歯止めになった可能性がある。ビーガン氏はこうした経緯を受け、軌道修正を図ったとみられる。

ビーガン氏は11日、信頼醸成に向けた措置の一例として平壌への連絡事務所の設置を挙げた。ただ、トランプ政権は金剛山観光、開城工業団地の再開などの南北経済共同事業にも否定的な姿勢になっている。国務省高官は7日、これらを国連制裁の例外にするかどうかについて「検討していない」と述べた。

北朝鮮の対韓国宣伝用のウェブサイト「わが民族同士」は12日「(米朝の)新しい関係と朝鮮半島に恒久的で強固な平和体制を構築し、完全な非核化へと進むのは我々の確固とした立場」だとする記事を掲載した。先の首脳会談に触れて米朝が対話を続ける姿勢を訴えた。

北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は1日、寧辺の核施設廃棄と制裁の一部解除の取引を「朝米間の現在の信頼水準からすると、現段階で考える最も大きな非核化措置」と述べている。米国への不信の強さをうかがわせるもので、現状で北朝鮮がトランプ氏の求める「ビッグディール」(大きな取引)に踏み出すのは難しいとみられる。

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