2019年4月20日(土)

奈良人気、加速するか JRおおさか東線16日全線開業

サービス・食品
関西
2019/3/12 6:01
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JR西日本は16日、大阪府東部を走る「おおさか東線」を全線開業する。新大阪駅と奈良方面を結ぶ直通列車の運行で、訪日旅行のリピーターの間で人気が高まる奈良観光のさらなる活性化が期待される。JR西は南都銀行との連携や地元の老舗ホテルの子会社化などを通じて奈良の魅力向上を図り、旅客需要を掘り起こす。

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おおさか東線 新大阪―久宝寺(大阪府八尾市)間の20.3キロメートルを結ぶ新線。JR西日本や大阪府、大阪市などが出資する第三セクターの大阪外環状鉄道(大阪市)が事業主体となり、単線の城東貨物線を複線化した。
 南側の放出―久宝寺間は2008年に先行開業した。16日に北側の新大阪―放出間でも運行が始まり、全線開業となる。全線開業後に1日10万人前後の利用を見込む。

おおさか東線の全線開通で、新大阪駅―奈良駅を最短52分、平均60分で結ぶ「直通快速」を1日に上下線各4本運行する。これまでJRを使って新大阪駅から奈良駅に行く場合、大阪駅で大和路快速に乗り換える必要があった。従来のアクセス方法よりも10分程度の時間短縮となる。今後は需要をみて直通便の増便を検討する。

奈良県によると2017年に同県を訪れた訪日外国人は209万人で、16年から26%増えた。訪日旅行のリピーターが大阪や京都のゴールデンルートだけでなく、奈良など新規の地域を旅行先に選ぶようになった。新線開通は奈良人気のさらなる拡大を後押しする可能性がある。

JR西はホテル開発などで大阪と京都に重点投資してきたが、奈良の成長性に着目。川井正大阪支社長は「奈良の知名度向上やリピート率を高めたい」と、今後は奈良も重視していく考えだ。

18年9月に地元地銀の南都銀と地方創生の連携協定を締結。JR西が通販大手のフェリシモと共同で運営する電子商取引(EC)サイトに、南都銀が顧客企業を紹介している。これまでに南都銀がつないだ地元企業の地場産品など約5品目を同サイトで販売。今後は販売品目を増やし、地域活性化につなげたい考えだ。

JR西日本が完全子会社化した奈良ホテル(奈良市)

JR西日本が完全子会社化した奈良ホテル(奈良市)

18年8月には奈良公園の近くに立地する奈良ホテル(奈良市)を完全子会社化した。折半出資していた近鉄グループホールディングス(GHD)から株式50%を取得。日本を代表するクラシックホテルのブランド力を生かし、宿泊需要を開拓する。

JR西が出資する古民家再生スタートアップのNOTE(ノオト、兵庫県篠山市)も奈良市の老舗酒造を改装したホテルを18年11月に開業した。古民家を観光資源に改装して地域振興につなげる。

おおさか東線は、JR大阪駅北側の再開発エリア「うめきた2期」内に新設予定の北梅田駅(仮称)に乗り入れ可能な構造となっている。北梅田駅は31年に開通予定の「なにわ筋線」が通る予定。関西国際空港から奈良方面の直通電車を将来運行する可能性もある。

新線の開通は、奈良を地盤とする近鉄GHDにも追い風となる。鉄道網のほか、奈良県下のバス輸送は近鉄系の奈良交通が中心に担う。訪日客らが奈良入り後に県下の様々な観光施設に足を運ぶには近鉄系のバスや鉄道の利用が必要で、相乗効果も期待できる。

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奈良観光の課題は観光客の滞在時間の短さだ。観光庁の調査によると、18年7-9月期の県内での訪日客の平均泊数は0.7泊と関西2府4県の中で最も低い。今回のアクセス向上でより日帰りしやすくなるため、県内での宿泊を促す夜観光の充実や宿泊施設の魅力向上が今後の地域課題になりそうだ。(土橋美沙)

淡路や八尾 沿線市街の再生にも期待
 おおさか東線の全線開通で、既成市街地の再生に期待が高まる。その一つが、阪急との結節点となるJR淡路駅(大阪市東淀川区)。市による土地区画整理事業や、阪急の京都線と千里線を高架化にする連続立体交差事業だ。
 区画整理が進んで阪急駅前の商店街は新しくなり、4800平方メートルの駅前広場も整備される予定だ。阪急電鉄グループは現在の駅舎や線路の撤去後にできる1万9000平方メートルの開発用地のあり方を今後、検討する。
2008年に開通済みの東大阪市や八尾市の区間も新大阪駅と直通し、利便性が高まる。例えば、周囲に町工場が多い高井田中央駅(東大阪市)。新大阪駅まで乗り換えなしの約20分となり、約10分短縮する。
JR西日本は高井田中央駅など沿線の10駅を「大阪市内」扱いにする特例を導入する。東京からの運賃は8750円。既存駅の場合、210円安くなる。
 八尾市は「大阪市内」から外れるものの新大阪直結による利便性向上を猛アピール。観光協会がJR八尾駅で記念イベントを開いた。

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