2019年6月20日(木)

トルコ、9四半期ぶりマイナス成長 10~12月期

2019/3/11 18:00
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【イスタンブール=佐野彰洋】トルコ統計局が11日発表した2018年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比3%減で、9四半期ぶりのマイナス成長となった。同年夏に対ドルで急落した通貨リラ相場はその前の水準を回復したが、物価は高騰し消費や投資が低迷している。マイナス成長が19年前半まで続くとの見方が多い。

前年同期比の実質成長率が四半期ベースでマイナスとなったのは、クーデター未遂の起きた16年7~9月期以来。18年通年の実質成長率は2.6%で、17年の7.4%から大きく減速した。

前四半期(季節調整済み)との比較では18年7~9月期から2期連続のマイナス成長で、一般には景気後退局面に入ったようにもみえる。

18年後半以降、トルコ経済は鉱工業生産指数、自動車販売、失業率など主要な経済指標は軒並み前年割れや悪化が続いている。10~12月期はGDPの6割を占める個人消費が8.9%減を記録した。官民のインフラ支出や設備投資の合計である総固定資本形成も12.9%減だった。一方、リラ下落を追い風に輸出は10.6%伸びた。

18年夏のリラ急落は、トルコ在住の米国人牧師拘束を巡る米国との政治対立を巡り、トルコからの資金流出が進んだことが背景。ほかの新興国の通貨安に波及し「トルコショック」と呼ばれた。

リラの対ドル相場が通年で約3割も下落し、輸入物価の上昇でインフレ率はピーク時に25%を超えた。中央銀行は18年9月に政策金利を6.25%引き上げ24%とした。

大幅な利上げはリラ防衛とインフレ抑止に一定の効果を上げたものの、市中銀行の貸出金利が上昇し、融資が減るなど景気低迷につながった。

当面の見通しも厳しい。経済協力開発機構(OECD)は19年のトルコ経済を1.8%のマイナス成長だと予測する。

トルコ政府は18年9月、新規インフラ開発を事実上凍結する21年までの中期経済計画を発表した。このため、財政出動を通じた景気の下支えは難しい。輸出の半分以上を占める欧州連合(EU)経済が減速感を強めていることも懸念材料だ。

改善に向かうとみられた対米関係がぎくしゃくしていることも影を落とす。トルコによるロシアの地対空ミサイルシステム「S400」購入を巡り、再び緊張が高まっている。エルドアン大統領は「(ロシアとの)取引撤回は疑問にさえならない」と述べ、最新鋭ステルス戦闘機F35のトルコへの供給撤回を掲げて断念を迫る米国に対し強い姿勢を崩していない。

エルドアン政権は31日に統一地方選を控え、トルコの大都市で公営低価格の野菜販売に乗り出すなど有権者の不満解消に躍起となっている。独禁当局は青果や飲料水の価格設定を巡る大手スーパーへの調査を始め、企業に圧力を加えている。

2月の金融機関の貸し出し動向はプラスに転じたが、融資を増やしているのは主に政権の意向を受けた国営銀行だ。有力エコノミストのウール・ギュルセス氏は銀行筋の情報として「当局が13の銀行に年率15%の融資拡大を求めた」と明かした。

グローバルなカネ余りの環境を活用し、海外からの借り入れに依存したインフラや不動産開発と消費の拡大をけん引役とする現政権の成長モデルは限界を露呈し始めた。

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