経産省が初のFIT認定「取消」、勧告・聴聞を経て実施

2019/3/11 17:00
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日経クロステック

経済産業省・資源エネルギー庁は固定価格買い取り制度(FIT)に基づく8件の太陽光発電の認定を取り消したと、2019年3月6日に発表した。いずれも沖縄県内に立地する連系出力50kW(キロワット)未満の事業用低圧太陽光の案件で、経産省の認定に関する公表資料では、13年2月と同年7月の認定取得で、4件は稼働済み、4件は未稼働となっている。

また、8件のうち4件は同一の企業、4件は同一の個人が発電事業者となっているが、個人名は同企業の代表者であることから、事実上、同一の主体による案件とみられる。

今回の取り消しは、FITの認定基準に適合していないために実施された。具体的にはFITに関する省令第46号に明記された「認定の申請に係る再生可能エネルギー発電事業を円滑かつ確実に実施するために必要な関係法令(条例を含む)の規定を遵守するものであること」(省令第46号・第5条の2第3号)を適用した。

エネ庁によると今回の取り消しでは、「農地法及び農振法(農業振興地域の整備に関する法律)に違反したこと」が、「関係法令の規定を遵守する」という認定基準に不適合とされた。農地法と農振法では、農用地区域に区分された土地を改変して農業以外の目的で使用できない。太陽光発電事業を行う場合には、農業委員会などに農地転用を申請し、認められることが必須となる。

今回、認定を取り消された案件では、太陽光パネルの下で農業を行うソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の形式を採用していたものの、用地に関しては、「農地転用」や営農型太陽光に必要な「一時転用」を申請し認められた状態ではなかった。

■県は「勧告」、国は「聴聞」を行った

沖縄県は、こうした法令違反の状況を把握したことから、設備を撤去して農地に戻すよう勧告する行政処分を何度か行ったが、発電事業者はこれに従わなかったという。

そこで、同県は国にこうした経緯を通報した。これを受け、エネ庁はFITの認定基準不適合の観点から聴聞を実施し、法令違反の是正を指導したものの、同発電事業者に改善は見られなかった。3月6日に公表した「認定取消」は、こうした手続きを経て最終的に実施された。

エネ庁では、今回の「認定取消」について、すでに沖縄電力に連絡しており、同電力は今後、発電事業者の立会いの下で、電力系統との接続を停止する作業を進めていくという。

今回の「認定取消」は、17年4月から施行された改正FIT法によって新たに設けられた条項を初めて適用したもの。改正FIT法によって、従来の「設備認定」から「事業計画認定」に衣替えし、認定に際しては、従来の「設備内容」に加え、電力系統との接続(連系)や事業用地の利用に関する契約締結も含めて実現性のある計画であることを認定の取得に求められることになった。同時に森林法や農地法、農振法、河川法、環境影響評価法など、土地利用などに関わる他法令に違反した場合、認定の取消が可能となる条項も盛り込まれた。

(日経BP総研クリーンテックラボ 金子憲治)

[日経 xTECH 2019年3月8日掲載]

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