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メキシコ大統領が就任100日 経済混乱で支持率陰りも

【メキシコシティ=丸山修一】メキシコでロペスオブラドール大統領が就任してから10日で100日がたった。二大政党でない新興左派政党が基盤の同氏は、最低賃金の引き上げなどで低所得層の歓心を買う。一方、2018年7月の当選後、前政権が決めた首都近郊の新空港建設や石油入札を大幅に見直し、経済の混乱を招いてきた。支持率はなお高水準だが、陰りも見え始めた。

ロペスオブラドール大統領=ロイター

「メキシコほどうまくいっている国はほかにない。経済は成長している!」。ロペスオブラドール氏は3月初め、週末の地方遊説で訪れた北部チワワ州でこう述べ、政権運営に自信をみせた。

ロペスオブラドール政権は、過去に政権を担当してきた二大政党を明確に否定する。すでに着工していた首都近郊の新たな国際空港を「(税金の)無駄遣いだ」と決めつけ、法的根拠のない住民投票の結果をたてに「国民の意思だ」と中止を決定した。メキシコの主要産業の一つである石油生産への民間資本の入札はペニャニエト前政権の目玉政策だったが、特に外資参入が国の資産の切り売りにつながるとして大幅な見直しを決めた。

債務超過で経営が揺らぐ国営石油会社ペメックスには39億ドル(約4360億円)の金融支援や製油施設拡充への援助を約束した。国内需要の7割を輸入に頼るガソリンを完全自給し割安に供給する狙いだが、資金拠出の裏付けは明確でない。

政策転換は企業や市場を戸惑わせる。国際会計事務所KPMGの調査では、メキシコの経営者の60%が「現政権(の政策)は自社の競争力にマイナスの効果をもたらす」と指摘。メキシコ銀行(中央銀行)のディアスデレオン総裁も「新たな施策が多くの混乱をもたらしている」と警告する。

メキシコ政府統計によると、海外からの直接投資額は18年10~12月期に前年同期より15%減った。民間機関の予想を平均すると19年通年で前年より20%落ち込みそうだ。

実質成長率見通しも19年は思わしくない。メキシコ銀は2月下旬、従来より0.5ポイント低い1.1~2.1%になりそうだと発表した。1%台に落ち込めば6年ぶりの低水準となる。米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは1日、メキシコ国債の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に修正した。これは同国通貨への売り圧力につながる。

一方、ロペスオブラドール氏は公約だった年金拡充や若者向け奨学金の新設はいち早く実現した。最低賃金も上げ、低所得層が多い北部の国境地帯では2倍に高めた。ペメックスの複数の幹部を「違反があった」との理由で更迭するなど、汚職に厳しい姿勢をみせた。

有権者の支持率はなお高いが、変化の兆しもある。メキシコの有力経済紙フィナンシエロ掲載の支持率は4日付が78%だった。18年12月15日付(77%)とほぼ同水準だが、2月7日付の86%からは低下した。

ロペスオブラドール氏が05年まで務めた首都メキシコシティ市長時代に顧問を務めた政治評論家マカリオ・スケッティーノ氏は「ポピュリズム(大衆迎合主義)政策が(低所得層などに)受けている」と分析するが、経済が上向かないと失速しかねないと指摘する。国民の期待が怒りに変わった場合でも「大統領は抑えきれるだろうか」と述べ、懸念を示した。

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