ベネズエラ、大規模停電続く 病院での死者相次ぐ

2019/3/11 3:56
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【サンパウロ=外山尚之】政情混乱が続くベネズエラで、7日に全土で発生した停電が長引き、深刻な被害が生じている。病院では透析機器や人工呼吸器が使えなくなり、死者が相次ぐ。主電源の喪失に加え、バックアップ電源が機能せず、復旧のメドがたたない状態だ。食料不足にも拍車がかかっており、深まる人道危機に歯止めがかからない。

停電の中、ろうそくで明かりをとる女性(9日、カラカス)=ロイター

停電の中、ろうそくで明かりをとる女性(9日、カラカス)=ロイター

7日夕方に発生した停電は同国最大の電力供給源であるグリ水力発電所(ボリバル州)の整備不良が原因とみられる。カバーする役割を果たす火力発電所は長年の経済危機でメンテナンスされておらず、復旧作業は難航している。

マドゥロ政権は「電力は徐々に回復している」と発表するが、停電発生から4日目に入った10日時点でも、部分的に復旧した電気がすぐ消えるといった報告が相次ぐ。

長年の経済危機でベネズエラの病院は非常用電源を備えていない施設が多く、人的被害が拡大している。現地からの情報によると、集中治療室にいた新生児が死亡したほか、人工透析や人工呼吸が受けられず、亡くなる例が相次いでいるという。

野党が多数を占める議会の集計では、10日時点で病院での死者が230人を超えたという。議会関係者は日本経済新聞社の取材に「停電が続けばさらに被害が拡大する」と明言する。非政府組織(NGO)のCodevidaによると、ベネズエラには全国で1万200人の透析患者がいるという。

また今回の停電により、食料不足がさらに深刻になることも避けられない状況だ。赤道に近いベネズエラでは日中の気温が30度を超える都市も多く、冷蔵設備の停止で食料の腐敗も進んでいるという。

年率268万%のハイパーインフレで紙幣が紙くず同然となる中、多くの国民はカード決済やオンラインバンキングの決済で現金を介さずに商取引を行っていたが、停電でシステムが機能しなくなり、経済活動もまひしている。

マドゥロ政権は11日を臨時の休日とし、学校や会社を閉じるよう指示を出した。一方、野党指導者のグアイド国会議長は国会に対し、「国家緊急警報」を宣言するよう求めた。

またグアイド氏は10日、ツイッターに「日本とドイツの協議により、ベネズエラを暗闇から脱せさせる計画を作成できた」と投稿した。日本政府はグアイド氏を暫定大統領として支持を表明している。外務省は「政府として野党陣営と連絡を取っていることは事実だが、具体的なやりとりについては控えさせていただく」としている。

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