2019年6月17日(月)

中小の商品販売、ECと小売がタッグ

2019/3/10 6:30
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電子商取引(EC)関連会社と小売企業が組んで中小メーカーなどの商品販売を支援する動きが広がっている。アジャイルメディア・ネットワークは自社のECで国内外企業の新商品を無料掲載し、販売が好調なら東急ハンズなど小売店で扱う仕組みを立ち上げた。BASE(東京・港)もECから事業を始めた人が、丸井グループの「マルイ」の店頭で商品を販売できるようにしている。

交流サイト(SNS)を活用したインターネット販促支援を手がけるアジャイルメディアは2月、商社や小売店と組み中小の商品拡販を手助けする新サービスを始めた。物流網の開拓などはアジャイルメディアが請け負い、商品が売れるまで手数料が発生しないのが特徴だ。売れ行き次第では東急ハンズなど大手小売店でも販売できる。

まずは台湾製品の日本での商品販売支援に乗り出した。「登竜門」と呼ぶ商品コンテストを開き応募のあった100商品の中から、雑貨や家電など20商品程度を選んだ。商品は同社のECサイト「カタパルト」に掲載し口コミや専用コラムを販促に生かす。

新サービス開始にあたって東急ハンズのほか、三越伊勢丹、ロフトなどの大手小売店と組んだ。小売り各社にとって、独自性のある商品は競合との差別化になる。現在も中小の日用品メーカーなどが直接新商品を売り込んでいるが、需要予測ができず、導入に至りにくい。カタパルト上の販売はテストマーケティングの意味合いもある。

中小メーカーは商品が売れた際、販売額の30%を手数料としてアジャイルメディアへ支払う。手数料には商品輸入にかかる資格取得の費用なども含まれる。台湾の有力企業が日本に進出する場合には日本法人を設立するケースも多いが、新サービスではアジャイルメディアと商社が販売代理を担う。

今後はアジアへの進出や国内での商品販促を期待する日本企業向けにも、同様のサービスを提供するという。

資金力に乏しい中小メーカーにとって、いかにコストを抑えながら新たな販路を開拓するかが課題だ。店舗を開かず、ECのみで販売する企業も多い。ただ、大手企業もネット広告や通販に積極投資しており、中小がECで成功するのは簡単ではない。

そんな中、中小企業や個人事業主のEC支援をしてきた会社も小売店との取り組みを進めている。ECサイトを数分で開設できるサービスを提供するBASEは2018年6月、東京・渋谷の「渋谷マルイ」に初の常設店を開いた。

BASEのサービスを使って作られたECサイトは70万店以上ある。自主製作のアクセサリーや食品のほか、海外で買い付けた衣類などがBASEを通じて販売されている。出店者は3~7日の間で平日1日あたり3万3000円を支払うと、若者が集まる渋谷マルイに期間限定のリアル店舗を出せるようにした。

BASEはECの立ち上げ以外にも、クレジットカード決済などを簡単に導入できる機能や資金調達サービスを提供し、中小の商品販売を支援してきた。一方で「創業時には想定していなかった、オンラインからオフラインへの需要が広がっている」(鶴岡裕太最高経営責任者)といい、18年4月に丸井グループと資本業務提携した。

口コミの多い商品や再購入する商品はネット上で気軽に買えるが、利用したことの無い商品には「手触り感」を求める人も多い。小売店各社はネットとリアルの相互活用に力を入れており、中小を支援するEC関連サービスとの連携がますます進みそうだ。

(企業報道部 吉田楓)

[日経産業新聞 2019年3月8日付]

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