伝説的沈黙劇「水の駅」が新演出で登場

文化往来
2019/3/14 6:00
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師の太田省吾の演出を「いったん完全コピーし、自分なりに更新する」という杉原邦生

師の太田省吾の演出を「いったん完全コピーし、自分なりに更新する」という杉原邦生

蛇口からしたたる一筋の水をめぐって、無言の人間がさまざまな姿態を見せる。国際的にも高く評価された1980年代の伝説的舞台「水の駅」が新演出で登場する。オリジナル演出の太田省吾は2007年に亡くなったが、演劇の弟子にあたる杉原邦生が挑む。

劇団転形劇場を主宰した太田は駅シリーズで、独創的な沈黙劇を築いた。81年初演の代表作「水の駅」は水場に現れては去る人たちが争ったり、愛撫(あいぶ)しあったりする。品川徹、大杉漣らの演技は極端に遅い速度と高い緊張を保ち、人間の実存を浮かび上がらせた。

再演出不可能とみられた同作に取り組む杉原は、劇団解散後に太田が教えた京都造形芸術大学で学んだ。「授業でゆっくり歩かされた」と笑うが、演出の試作を認められ、演出家になろうと決意。歌舞伎を現代化する木ノ下歌舞伎の「勧進帳」などで注目を集め、太田の旧作「更地」でも作意を同時代の感覚に焼き直し、鮮烈だった。

太田作品には韓国のキム・アラ、日本の三浦基らが再挑戦しているが、成功例は少ない。「水の駅」に至っては再舞台化の例もほぼない。27~31日の森下スタジオ(東京・江東)での公演は舞踊家の岩下徹らの配役で「いったん完全コピーし、自分なりに更新する」という独特の演出手法で臨む。

(内田洋一)

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