2019年5月21日(火)

統計不正、第三者委調査は最低ランク 身内調査に限界

統計不正
経済
2019/3/8 23:23
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毎月勤労統計の不正調査を巡り、厚生労働省が第三者委員会として設けた特別監察委員会の信頼が揺らいでいる。再調査の報告書をまとめたが隠蔽は認定せず、中立性への疑いがぬぐえない。8日には弁護士らによる任意団体が調査のやり直しを求めた。総務省が同日公表した賃金構造基本統計の調査も踏み込み不足が目立ち、「身内」調査の限界が出ている。

「何のために税金を使い調査したのか。さっぱり意味がない」。任意団体の第三者委員会報告書格付け委員会で委員長を務める久保利英明弁護士は8日に日本記者クラブで会見し、特別監察委を強く批判した。

弁護士や大学教授ら9人の格付け委員は5段階で監察委の報告書を評価し、全員が最も低い「F」を付けた。全20回の格付けで全員が最低評価を付けるのは2回目だ。2018年に起きた日本大学アメリカンフットボール部の悪質反則問題を調べた第三者委より評価が低い。委員の斉藤誠弁護士は「最低最悪の報告書」と切り捨てた。

格付け委が低評価を付けた最大の理由は監察委が中立性や独立性を欠いていると判断したためだ。特別監察委の樋口美雄委員長は厚労省の外郭団体のトップを務める。同省の審議会の会長なども歴任しており「身内」による調査と見る。

毎月勤労統計は労働者の平均賃金や労働時間を把握する調査だ。政府が特に重要な基幹統計の1つと位置づける。不正は04年から始まった。東京都の大規模事業所を一部しか調べず、誤った調査結果を公表し続けていた。統計を使って算出する雇用保険や労災保険の過少給付につながった。

厚労省は19年1月16日に特別監察委を第三者委員会として発足させ、同22日に「組織的隠蔽は認められなかった」とする報告書を公表した。

この直後に報告書の原案を同省が作り、不正に関与した職員らの聞き取り調査に同省幹部が同席していたことが発覚。追加調査を迫られた。2月27日に「虚偽はあったが、隠蔽はなかった」という趣旨の報告書を出した。

特別監察委の報告書は「言語道断」や「猛省を促す」など厚労省に厳しい言葉が並んだ。だが、格付け委は「事実認定は極めてルーズ」(国広正弁護士)とみる。

厳しい表現と事実認定の緩さは総務省が8日公表した賃金構造基本統計不正の報告書にも共通する。厚生労働省の担当室長が不正を認識しながら、隠そうとしたことについて「衝撃的」としたものの、隠蔽という表現は避けた。

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