ドコモ、ディズニー見放題 5Gに備え動画争奪
携帯大手が次世代通信規格「5G」時代に備え、動画配信の強化に動きだした。NTTドコモは7日、米メディア大手ウォルト・ディズニーの日本法人と動画配信で協業すると正式発表した。ディズニーの人気映画などが見放題となる。KDDIは米動画配信大手ネットフリックスと組む。5Gの商用化が迫るなか、人気コンテンツの確保が新たな競争軸として浮上してきた。
ドコモとディズニーは26日から、動画配信を含む新たなサービス「ディズニーデラックス」を開始する。新サービスはスマートフォン(スマホ)や動画配信対応テレビで、ディズニー傘下の「ディズニー」「ピクサー」「マーベル」「ルーカスフィルム(スター・ウォーズ)」という4つのブランドの作品が月700円で見放題となる。ドコモのポイントサービスの会員であれば、ドコモの携帯電話契約がなくても利用できる。
ディズニーが持つ「アナと雪の女王」「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」など、これまで定額動画配信サービスに提供してこなかった人気作品を初めて見放題に含めた点が売りだ。
ドコモの吉沢和弘社長は7日の記者会見で「過去にもドコモは動画配信サービスに取り組んできたが、今回はディズニーの4つのブランドをすべて含むという非常に大きな位置づけ」と語った。
両社の協業は、現在の100倍の実効速度を実現する5Gの商用化が2020年に迫ってきた点が背景にある。吉沢社長は「5Gのメインコンテンツは動画」と語り、今後両社で仮想現実(VR)を活用した動画などにも取り組みたい意向を示した。
ドコモのライバルであるKDDIも人気の映像コンテンツ確保を急ぐ。同社は米動画配信大手ネットフリックスと提携し、携帯電話とセットにした割安なプランを提供している。
携帯各社が動画配信を強化するのは、人気コンテンツを拡充することでの顧客を囲い込めるほか、通信料の収入増につなげられるという狙いからだ。
スウェーデンの通信機器大手エリクソンによると、18年時点のスマホ1台当たりの平均データ通信量は5.6ギガ(ギガは10億)バイトだったところ、24年末には21ギガバイトまで増えると予測する。高精細な動画やVRなどがデータ通信量を押し上げるという。利用者をより高額な大容量プラン加入へと促すことになり、収益増を図れる。