2019年5月20日(月)

EU、デジタル課税合意見送りへ 主導役の仏は単独導入へ

データの世紀
ネット・IT
ヨーロッパ
2019/3/7 17:48
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欧州連合(EU)が米グーグルなどIT(情報技術)分野の巨大企業を主な対象とする「デジタルサービス税」の合意を見送る見通しとなった。3月末までに加盟国でつくる閣僚理事会での合意を目指していたが、足並みがそろわなかった。EUは今後、経済協力開発機構(OECD)を舞台にした国際協調によるデジタル税の実現を目指すが、協議は難航が避けられない。

デジタル課税に関する各国の立場の隔たりは大きい(ブリュッセルのEU本部)=ロイター

「欧州には21世紀の税制を定義する勇気がなかった」。フランスのルメール経済・財務相は6日、EUレベルでのデジタル課税の導入を断念する意向を表明した。EUの執行機関である欧州委員会は18年3月、独自の「デジタルサービス税」の導入を加盟国に提案。中長期的に法人税ルールを抜本的に見直すまでの暫定案として、EU域内での売上高に税率3%を課税することを目指していた。

EUでは税制の変更には全会一致の承認が必要となる。課税案には低税率で米IT大手などを誘致してきたアイルランドなどが導入に猛反発して調整は難航。このため、18年12月には推進派の仏がドイツと連携して課税対象を絞る妥協案を提示した。

合意の時期も18年末から19年3月末まで先延ばしして決着を呼び掛けたが、アイルランドなどとの溝は埋まらなかった。合意が困難となったことで仏は単独での課税にカジを切り、6日に関連法案を閣議決定した。

法案は世界で7億5000万ユーロ(約950億円)、仏国内で2500万ユーロを上回る売上高の企業を対象に、ネット上のビジネスの売上高に税率3%を課税する内容。仏財務省によると、30社あまりが対象となる可能性があり、4億ユーロ程度の税収を見込む。

EUでは仏のほか、英国やスペインなどが単独課税の方針を表明している。EUは今後、国際協調によるデジタル課税の実現を目指すが、協議は長期化が必至で、当面は加盟国がバラバラに対応することになりそうだ。

各国が協調姿勢を取らず独自の課税ルールが乱立する事態には、専門家から懸念の声も上がる。課税の範囲が重複する「二重課税」など、経済に悪影響を及ぼしかねないためだ。

デジタル課税を巡ってはOECDで検討が始まっている。支店など企業が拠点を置く国での利益に課税する現行の国際課税ルールを見直す方針だが、米国がデジタル企業を狙い撃ちにせずに企業のブランド価値など無形資産への課税を提案するなど、各国の課税案には相違点が多い。

日本が議長国を務める20カ国・地域(G20)でもデジタル課税は重要議題となるとみられる。OECDは6月に福岡で開くG20財務相・中央銀行総裁会議に議論の進捗を報告する見通しだ。(寺井浩介、ブリュッセル=森本学)

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