2019年4月26日(金)

子供の心の傷癒やす 被災地で通信制高サポート校開設

大震災8年
2019/3/7 10:56
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東日本大震災の被災地で母子支援を続けている東京のNPO法人が、不登校や引きこもりの子供のため、通信制高校のサポート校を今春開設する。岩手県陸前高田市に建設したフリースクールに通学し、インターネット学習で高校卒業を目指す。震災で傷ついた子供が学校に通うことで社会に復帰し、生きる力を身につけることが心の復興につながると期待している。

震災後引きこもりになった子供の社会復帰を目指して開校する高田国際高等学院(岩手県陸前高田市)

震災後引きこもりになった子供の社会復帰を目指して開校する高田国際高等学院(岩手県陸前高田市)

学校は「高田国際高等学院」。2004年9月に設置認可を受けた広域通信制課程・単位制の「アットマーク国際高等学校」(石川県白山市)のサポート校の位置づけだ。東京のNPO法人「マザーリンク・ジャパン」(寝占=ねじめ=理絵・代表理事)が18年春に陸前高田市に開設したフリースクールの施設を校舎として使う。

授業はアットマーク高の授業をネット上で受ける方式。3年間で74単位を取得して高校卒業資格を得る。高田校は週4日、施設に登校することを生徒に促す。「引きこもりから社会に復帰することが目標。そのために学校に戻ることが最良の方法と信じる」と寝占さん。

午前はネット授業。午後は寝占さんらスタッフが国際理解教育や音楽、創作活動を教える。生徒は人口問題や貧困、環境、平和問題について学び、リポートを提出することで単位を認定される。寝占さんは「様々な授業を通じて多様な価値観に出合い、自分の意見が言えるように育てたい」と抱負を語る。

寝占さんらは岩手県の三陸沿岸部に位置する陸前高田市、大船渡市、住田町や宮城県気仙沼市の中学・高校29校を訪問。高田校について説明した。

フリースクールづくりに取り組むきっかけとなったのは、震災発生直後から沿岸部で物資支援に取り組む中で、母子家庭などの状況を知ったことだ。心的外傷後ストレス障害(PTSD)で子供が引きこもり、親は就労できず家庭が貧困に陥る実態があった。

仮設住宅などの約200世帯の個別訪問を通じ、「真の復興の実現には不登校の解決が必要」と判断。子供が外に向けて一歩を踏み出せるよう18年3月、まず心を癒やすための音楽室を開設した。

今後は図書室、学習室、美術室、遠方からの通学用の宿舎などを設ける計画。建設資金に約8千万円、通信制高校の運営や困窮家庭への援助資金に毎年2千万円が必要だが、資金は圧倒的に足りないという。

全国各地で深刻な災害が起きるたび、寝占さんらの元には「マザーリンクはどんな支援をするのか」と問い合わせが入る。だが、「(東北の)この地の問題はまだ解決していない」と考える寝占さんは「壊れた人の心の快復には長期にわたる支援が要ることを震災発生から8年の今、多くの人に理解してもらいたい」と訴えている。

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