欧州トヨタ社長「英生産撤退も」 合意なき離脱なら

2019/3/6 20:13
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【ジュネーブ=深尾幸生】トヨタ自動車は6日、英国の欧州連合(EU)離脱が「合意なき離脱」になった場合、2023年以降に英国の生産から撤退する可能性もあることを明らかにした。ヨハン・ファンゼイル執行役員(欧州トヨタ社長)がEU離脱により「(英国からの輸出車に)関税がかかることは影響が非常に大きい。合意なき離脱になれば(撤退は)将来の選択肢として議題にあがる」と述べた。EU離脱を巡る英政府の方針が定まらず、英国に拠点を置く企業が自衛策を模索している。

トヨタのファンゼイル執行役員(欧州トヨタ社長)は「英国での投資縮小や生産撤退もありうる」と指摘する(6日、ジュネーブ国際自動車ショー)

トヨタのファンゼイル執行役員(欧州トヨタ社長)は「英国での投資縮小や生産撤退もありうる」と指摘する(6日、ジュネーブ国際自動車ショー)

ファンゼイル氏がスイス・ジュネーブで開催中の国際自動車ショーで日本経済新聞などのインタビューに応じた。

トヨタは英国中部のバーナストンに完成車工場、同ディーサイドにエンジン工場を構え、両工場で計約3200人を雇用する。バーナストン工場では18年に12万9千台を生産し、英国の自動車産業全体の1割弱を占めた。17年に同工場への追加投資を発表し、現在は19年1月に欧州で発売した「カローラ(旧オーリス)」の新モデルの生産を始めたばかりだ。

ファンゼイル氏は次期モデルへの切り替え時期となる23年以降に英国で生産を続けるかが検討の対象となるとした。

トヨタの英国工場は部品の5割程度を英国を除くEU加盟国とトルコから調達し、完成車の9割をEU加盟国に輸出している。現在ゼロのEU向けの関税が世界貿易機関(WTO)が定める10%になれば収益性の悪化は避けられない。

ファンゼイル氏は「撤退は望んでいない。何も決まっていない」としたうえで「英国生産の競争力がなくなれば勝ち残れない」と強調。英政府に無関税やモノの自由な移動の維持を改めて求めた。

トヨタは生産効率を高めるため、部品の在庫を4時間分しか持たない。1日に50台のトラックがドーバー海峡を渡って工場に部品を納めており、部品の流れが滞ると自動車生産はすぐに止まってしまう。

トヨタは短期的には合意なき離脱で物流に混乱が生じた場合に備え、3日分の部品在庫を確保した。「混乱が3日を超えると生産は止まる」(ファンゼイル氏)という。あらかじめ4月に生産休止日を設けることはしない。

英国での自動車生産を巡ってはホンダが21年に現地生産を中止することを決め、日産自動車は「エクストレイル」次期モデルの生産計画を取りやめた。独BMWや米フォード・モーターもそれぞれ完成車やエンジン生産の移管を検討している。

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