2019年5月26日(日)

ゴーン元会長の保釈、専門家の見方

ゴーン退場
2019/3/6 23:25
保存
共有
印刷
その他

日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(64)が6日、保釈された。全面否認している被告が公判前整理手続きが始まる前に保釈されるという異例の展開を、専門家はどうみたのか。

元東京高裁部総括判事の門野博弁護士の話 フランス国内の住居を希望した1回目の保釈請求では難しかったが、司法取引などで証拠を固めている以上、罪証隠滅の恐れが現実的とはいえず、本来は2回目で認められていてもよかった。今回は外部との情報交換を制約するという弁護側の提案が判断を大きく左右しただろう。監視カメラの使用などを具体的に提案するのは珍しい。

公判前整理手続きの始まる前に保釈されたことで弁護人と打ち合わせがしやすくなり、被告人の防御権という点でもプラスだ。ここまで制限しないと保釈が認められないとなると逆にハードルが上がって問題だが、人権や人質司法の払拭という意味でも今回の判断は非常に望ましい。他の事件に波及する効果も期待できるだろう。

元東京地検特捜部検事の高井康行弁護士の話 保釈条件の提案自体は弁護側の戦略としては普通だ。検察側は今後、条件が真摯に履行されるかを注意深く見守り、違反していれば保釈の取り消し請求をすることになるだろう。問題はパソコンの履歴や監視カメラの映像を裁判所や検察がチェックできる仕組みになっているかどうかだ。弁護側しか確認できない仕組みでは実効性に疑問がある。

保釈が幅広く認められる傾向は今後さらに強まるはずで、今回の事件をきっかけに保釈を前提にした仕組みの議論を進めるべきだ。特に被害者のいる事件で告訴をためらうなどの影響が出かねない。早く保釈する代わりに全地球測位システム(GPS)などで監視したり、保釈中の再犯を加重処罰したりといった制度設計が急務だ。

元日弁連刑事弁護センター委員長の前田裕司弁護士の話 裁判員制度をにらんで2006年に大阪地裁判事が書いた保釈を広く認める論文と、14、15年の最高裁決定で勾留に対する裁判所の意識は変わってきていた。もっと早く保釈されていてもおかしくなかったし、保釈を認めた判断が画期的とまではいえない。

今回、特に重要で評価できるのは公判前整理手続きが始まる前に保釈されたことだ。海外からも注目された事件で、他の事件に影響が広がるかは慎重に見るべきだ。身体拘束が長期に及ぶ日本の刑事司法の特異性がわかりやすく伝わった点は前向きに受け止め、制度改正に向けた議論のきっかけにしないといけない。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報