AWS移行で脱オラクル 住信SBIが詳細明らかに
住信SBIネット銀行はインターネットバンキングなどのデータベース(DB)を米オラクルの「Oracle Database(オラクルデータベース)」から、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供している「Amazon Aurora PostgreSQL(アマゾン・オーロラ・ポスグレSQL)」に移行する。2019年3月5日にAWSが開催した説明会で詳細を明らかにした。
同社は現在、インターネットバンキングシステムに「オラクルデータベース11g」の最上位版であるエンタープライズ・エディションを採用。オラクルデータベースのクラスタリング機能「リアル・アプリケーション・クラスター(RAC)」を3ノード構成で利用中だ。これをAWSのフルマネージドのDBサービス「アマゾン・オーロラ・ポスグレSQL10」に移行する。

住信SBIネット銀行は、「AWSが提供するツールやサービスなどを利用して3カ月間検討した結果、3年間で移行にかかわる費用が回収できると判断してAWSへの移行を決めた」(相川真一システム開発第2部長)と説明する。障害時にレプリカノードに切り替える時間が30秒程度であることや、オラクルデータベースからアマゾン・オーロラ・ポスグレSQLに移行した場合に運用費用が83%程度下がることを評価した。
検討時には、両者の機能比較や、SQL文の互換性調査、性能調査などを実施。機能に差がないことに加え、高い負荷をかけてテストした際にアマゾン・オーロラ・ポスグレSQLの性能が高かったことを評価した。SQL文の互換性調査では62%が自動変換可能との結果だったが、「実際にプロジェクトを進めると自動変換できない部分もあった」(相川部長)という。
相川部長は、「移行するためのアプリケーションの書き換え費用は相当かかることが分かったが、オラクルデータベースのライセンス費用の削減などを考えた結果、DBソフトを移行したほうがいいと判断した」と話す。
住信SBIネット銀行はインターネットバンキングシステムのほかに、事務処理システム、外貨システムのDBもアマゾン・オーロラ・ポスグレSQLに移行する。事務処理システムは19年10月、外貨システムは19年12月、インターネットバンキングシステムは20年3月に稼働を予定している。同社は17年からクラウドへの移行を進めており、他システムもAWSなどのパブリッククラウドに移行中だ。
(日経 xTECH/日経SYSTEMS 島田優子)
[日経 xTECH 2019年3月5日掲載]
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