2019年6月17日(月)

「あらゆるところにAI」野村総研が5年後予測

日経産業新聞
コラム(ビジネス)
2019/3/7 6:30
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

野村総合研究所(NRI)は5日、5年先のIT(情報技術)の進歩を見通した「ITロードマップ」を公表した。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」が普及し、各所に散在する人工知能(AI)が大量データを逐次処理。5G(第5世代移動通信システム)を活用したドローンが飛び回るようになると予測した。5年後に待ち受けている未来を読み解く。

NRIの城田真琴デジタル基盤開発部リサーチ&ナビゲートグループマネージャーは「今後5年は、多様なデータをいかにビジネスにつなげるかが問われる。ビジネスを実現する技術の組み合わせに焦点が当たる」と指摘する。

NRIは、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の浸透を背景に人工知能(AI)を端末側で活用する「エッジAI」や5G、ドローンなどを重要技術として挙げた。

エッジAIはスマートフォン(スマホ)やIoT機器で収集したデータをクラウドに送らず端末側で処理する「エッジコンピューティング」の仕組みにAIを組み合わせたもの。自動車や産業用機械などに応用が進むとNRIは見る。

■端末に搭載「エッジAI」がデータ処理

IoT端末とAIを組み合わせた現状のシステムの多くは、端末から収集したデータをクラウドに転送し、クラウド側のAIで分析した結果をIoT端末に送り返す。端末とクラウドのやり取りで遅延が発生するため、リアルタイム性の要求が厳しい用途には使いにくい。クラウドにデータを転送するため機密性の高い情報には扱いにくい面もある。エッジAIが普及すれば、これらの制約が取り払われる。

技術面では既に整いつつある。低消費電力でAIの処理を実行するチップは登場済みで、NRIは20年度までには自動車用センサーなどにもAIチップの搭載が始まると予測する。端末の環境が整う21年度以降、現状はクラウド経由で提供する翻訳や画像認識をエッジ側で処理するサービスが広がるという。

■5G、本領発揮はしばらく先

5Gは、国内では19年夏に試験サービス、20年初めに本サービスが始まる見込みだ。現行の4Gと比較して高速大容量、低遅延、多数の端末の接続という特徴がある。

例えば新幹線での移動中も高速通信が可能になり、遅延の小ささを生かせば遠隔からの手術といった応用も期待できる。

IoTへの連携も期待できる。センサーなどのIoT端末を一度に大量に接続できるためだ。5GとAIを搭載する自動車の組み合わせで高度な自動運転が実現するという。IoT端末となった自動車から走行中の情報を収集し、その情報をもとに遠隔で制御するといった具合だ。

学生らの構内の移動手段として18年度の実用化をめざす(福岡市)

学生らの構内の移動手段として18年度の実用化をめざす(福岡市)

NRIの藤吉栄二デジタル基盤開発部リサーチ&ナビゲートグループ上級研究員は「自動運転を利用した旅客サービスが実現し、ビジネス構造を一変させる可能性がある」と指摘する。

もっとも、5Gが本領を発揮するのはしばらく先になりそうだ。20年時点ではスマホと基地局の区間が5Gに対応するだけで、携帯電話会社側の基幹網は4G時代のものが残るためだ。高速通信以外の低遅延と多接続の特徴は、基幹網の対応が完了する24~25年になってから実現するとNRIは予想する。

また「センサーなどのIoT端末でデータを取得する用途の場合、5Gほどの高速性は不要なことも多い」(NRIの藤吉上級研究員)。低電力で通信ができるほうがよい、センサーなど向けの次世代無線通信が5Gと並行して広がるという。

次世代無線通信は19年度以降にサービスが始まり、一部のサービスは22年度以降に全国展開が進む。ビジネスで求められる通信速度や消費電力に応じて5Gと適材適所で活用することになる。

■ドローン、広がる活用シーン

 浪江郵便局に到着する、荷物を積んだ小型無人機ドローン=7日午前、福島県浪江町

浪江郵便局に到着する、荷物を積んだ小型無人機ドローン=7日午前、福島県浪江町

NRIは農業や物流、監視などへの応用に期待が高まるドローンも重要技術と位置づけた。19年度以降に活用が進むと予測している。

複数の企業のドローンを制御する運航管理システムや離着陸施設などが整った19~22年度に、山間部や離島などの物流業務で活用が始まる。19年度にはAIを搭載するドローンが登場し、AIを活用した自律飛行が本格化する。

23年度以降は、5Gと連携するドローンが登場し、ビジネスの活用シーンも広がる。例えばドローンで遠隔地の生産現場を撮影し、5Gならではの高速性を生かした高精細映像を伝送。現場に行かずして生産工程のナレッジを蓄積するといった使い方が本格化するとした。(島津忠承)

[日経産業新聞 2019年3月6日付]

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