2019年5月21日(火)

米、キューバへの訴訟を解禁 革命後の接収財産巡り

トランプ政権
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2019/3/5 19:19
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【メキシコシティ=丸山修一】トランプ米政権は4日、キューバ政府が1959年の革命後に接収した財産について、米国人がキューバの企業や団体を相手取り、米国内で損害賠償請求の訴訟を起こせるようにすると発表した。米国と対立する南米ベネズエラのマドゥロ政権と連携するキューバへの圧力を強める。オバマ前米政権との違いを強調する狙いもある。米国とキューバの関係が一段と冷え込みそうだ。

制裁強化で外国投資が遠のく可能性も(ハバナ市内で建設中の大型ホテル)

訴訟は19日から可能になる。在米の亡命キューバ人やその子孫らの提訴が多数、予想される。

米国務省の制裁リストに載るキューバ軍の関係企業など約200社が訴訟の対象になる。同国の有力な旅行会社「ガビオタ」も含まれる。こうした企業の多くは首都ハバナの高級ホテルや、ビーチに近い価値の高い土地を所有している。

米国のオバマ前大統領は2015年7月にキューバとの国交回復を実現し、「雪解け」を進めた。だが、17年1月に就任したトランプ大統領は厳しい姿勢に転じた。

トランプ政権が19日に適用を解禁するのは対キューバ制裁を強化するための「ヘルムズ・バートン法」のうち凍結されていた一部の項目だ。同法は米国で1996年に成立したが、過去の米政権は同法のうち接収財産に関する損害賠償請求について定めた項目の適用を猶予していた。貿易や投資でキューバとつながりが深い欧州諸国などの反発が予想されるうえ、訴訟が多発し混乱を招く事態を避けるためだった。

トランプ政権はオバマ前政権が許可した米国人の観光目的でのキューバ渡航を再び禁じた。今回の訴訟対象となる軍関連企業との取引禁止なども打ち出してきた。

トランプ政権がキューバに厳しい態度を示すのは、同国の友好国であるベネズエラをけん制する意味もある。米国はベネズエラで事実上の独裁体制を固める反米左派のマドゥロ大統領を打倒するため、制裁を相次ぎ発動してきた。米国や親米諸国にはマドゥロ政権に反発するベネズエラの野党指導者、グアイド国会議長を暫定大統領として承認する動きが広がる。

米国はキューバが「ロシアや中国と緊密な関係を維持」(米国務省高官)しながらマドゥロ政権を支えてきたと考えている。ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は4日、ツイッターで「キューバがベネズエラで(市民の)弾圧を支援しているのは明白だ」などと指摘した。20年の米大統領選で再選を目指すトランプ氏にとって、激戦区のフロリダ州に多い左派嫌いのヒスパニック系有権者の歓心を買う政策は大きな意味を持つ。

トランプ政権は今回の決定で、キューバでいま事業を進めている外国企業への訴訟の解禁は見送った。適用凍結を4月17日までは続ける。

キューバ政府はトランプ政権の決定に強く反発している。ロドリゲス外相はツイッターで「米政府の決定を拒否する」と主張した。キューバ外務省も「キューバの発展に大きな障害となる(決定だ)。力で従わせようとしても目的は果たせない」との声明を公表した。

キューバは2月24日に国民投票を実施し、憲法改正案を承認した。経済の自由化を進め、個人や外国企業にも私有財産を認める内容だ。外国からの投資を経済成長のための重要な要素と位置付けた。今回のトランプ政権の決定が外国投資の減少につながれば、低迷が続くキューバ経済にとって大きな打撃になる。

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