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マクロン仏大統領「今こそ欧州再生を」 欧州紙に寄稿

【ブリュッセル=森本学】フランスのマクロン大統領は5日、欧州連合(EU)加盟国の主要紙に寄稿し、「今こそ欧州のルネサンス(再生)の時だ」と呼び掛けた。5月の欧州議会選に向け、域内で勢いづく右派ポピュリズム(大衆迎合主義)への警戒を強調した。欧州の民主主義をサイバー攻撃や偽ニュースなどから守るEU機関の新設などを提案した。年末までにEU市民も巻き込んだ「欧州会議」を設け、EU改革に取り組むべきだと訴えた。

フランスのマクロン大統領=ロイター

マクロン氏は「親愛なる欧州」と題した5日付の寄稿で、英国のEU離脱は「欧州の危機の象徴」だと指摘した。「欧州は現代世界の衝撃から(EU市民を)守るという人々のニーズにこたえてこなかった」として欧州の抜本改革が必要だと呼び掛けた。

とくに強調したのが、域内で勢いづく右派ポピュリズム勢への警戒だ。マクロン氏は「反EU」や自国最優先を掲げる右派ポピュリズム勢を「ナショナリスト」と位置づけて対立軸をアピールした。

5月下旬に迫った欧州議会選は「私たちの大陸の将来にとって決定的に重要になるだろう」と指摘した。「解決策のないナショナリストに人々の怒りを悪用させるわけにはいかない」と訴えた。

そのうえでマクロン氏は具体的な改革案の概要を示した。まず欧州の自由民主主義を守るため、加盟国の選挙の際に、専門家を派遣するなどして、サイバー攻撃や世論操作から保護する欧州機関の新設を提案した。

EU法を強化し、域外勢力から欧州政党への資金提供を禁止することも呼び掛けた。国名は言及しなかったが、ロシアへの対抗が念頭にありそうだ。

「欧州大陸を守る」として、EU加盟国などを国境検問なしで自由に往来できるシェンゲン協定を徹底的に再検討すると強調した。同協定への参加国は厳格な国境管理とともに、難民受け入れの義務も果たさなければならないと訴えた。防衛では欧州安全保障理事会の設置などを提案した。欧州域内の防衛協力の強化を呼び掛けた。

欧州が世界の「先駆者」としての役割を取り戻すべきだとも主張した。すべての労働者に同一労働・同一賃金などを保障する「社会的な盾」の導入を訴えた。

50年までに温暖化ガスの排出量を「実質ゼロ」にするというEU目標案を達成するため、気候変動対策に融資する「欧州気候銀行」の創設も提案した。

世界的に経済のデジタル化が進むなか、従来の金融機関に対する監督と同様に、デジタル巨人企業へのEUレベルの監督体制の創設も提案した。

マクロン氏はこうした改革を具体化するため、年末までにEU主要機関や加盟国、EU市民の代表者らが一堂に会する「欧州会議」を設置するよう提案した。EU基本条約の修正という抜本改革も除外せずに、改革プランをとりまとめるべきだと訴えた。

17年5月の大統領就任後、マクロン氏がEU政策に関してまとまった提案を行うのは同年9月の演説に続いて2度目。欧州議会選に向け、右派ポピュリズム勢に押され気味の親EU派を活気づける狙いがありそうだ。

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