2019年3月25日(月)

スマホ「端末セット割」夏にも禁止 負担感増も

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2019/3/5 17:06
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政府は5日、携帯料金引き下げを促す電気通信事業法改正案を閣議決定した。長期契約で端末代を値引くといった手法が通信料の高止まりを招いているとし、夏以降、通信契約と端末代金のセット値引きを禁止する。通信料金の明確化や値下げが期待される一方、新品を買う際の消費者の負担感が増し端末市場には打撃となる可能性もある。

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改正案は、一定期間の通信契約と端末代金のセット値引きを禁止する「完全分離」の義務化を盛り込んだ。今国会に提出し成立を目指す。その後、関係省令改正を進め、夏以降の施行を見込む。

現在の携帯大手の料金は、一定期間の通信契約を前提に事実上、端末代金を割り引くプランが多い。総務省の有識者会議は多くのユーザーが支払う通信料が値引きの原資となり、料金高止まりを招いているとし携帯各社に見直しを求めていた。

菅義偉官房長官は5日の記者会見で「法案の早期成立に向けて取り組み、分かりやすく納得のできる料金、サービスを実現したい」と述べた。

携帯各社は対応を迫られる。NTTドコモは法改正に先駆けて春に新プランを導入する方針を示している。セット値引きをやめる代わりに通信料金を2~4割値下げするとみられる。KDDIソフトバンクは「総務省の指針が出てから対応を検討する」としている。

法改正でプランが明瞭になると格安スマホなどと比べやすくなる(都内の家電量販店)

法改正でプランが明瞭になると格安スマホなどと比べやすくなる(都内の家電量販店)

完全分離によって消費者の負担はどう変わるのか。NTTドコモは端末価格約12万円の米アップル「iPhoneXS」を、2年間の通信契約とセットにすることで実質約6万円で販売している。端末を半額に抑える一方、2年間の通信料金は一般的なプランで約18万円。総額は24万円だ。

完全分離以降は端末代として正価の12万円程度がかかる一方、通信料金が2~4割値下げされると2年間の総額は約22万~26万円になる見込み。総務省は通信契約とセットにしない端末割引自体は「一律に否定しない」との見解を示している。

完全分離は複雑だったプランが明瞭になるほか、同じ端末を使い続ける利用者が頻繁に買い替える利用者の端末代を肩代わりするような不公平感の解消につながる。

一方、これまで「実質0円」などタダ同然で新製品を手にしてきた消費者にとっては、負担感が増す可能性がある。

2020年以降、次世代通信規格「5G」の本格商用サービスが始まる。高精細な動画配信など5Gならではのサービスを使うには、5G規格に対応したスマートフォン(スマホ)に買い替える必要がある。完全分離で端末買い替えの意欲がしぼめば、5G普及の足かせになる懸念もある。

携帯電話業界に詳しいデロイトトーマツコンサルティングの越智公央シニアマネジャーは「次世代ビジネスを国内から生み出そうと考えると、5Gへの投資や普及度合いを強く意識しなければならない。端末価格を割安にし、広く普及を促すべきだ」と話す。

新品の端末代の負担を軽減する上で、下取りに出せるような中古スマホ市場の立ち上げも課題になる。総務省は激変緩和を狙い、中古スマホの流通促進を進めている。

これまで携帯大手は新品への買い替えを促すため、顧客が使っていたスマホを回収し、多くを海外に流してきた。その結果、日本で流通する中古スマホは新品のわずか5%と世界の半分の水準にとどまる。商流を変えなければ、スマホ市場は縮小が避けられない。

総務省の有識者会議に参加する野村総合研究所の北俊一パートナーは「スマホ販売台数は、現在に比べて2~3割は減るだろう」と指摘する。「これまでの(値引きによる)販売水準が異常であり、ようやく適正化されるだけだ」と話す。

メーカーや販売店も変革を迫られる。米アップル「iPhone」など高価格スマホに偏っていた端末の販売が、5万円程度の中価格帯に移っていく可能性がある。

携帯ショップを運営する代理店の基本的な収入は携帯大手からの手数料と、スマホの販売台数に応じて支払われる端末メーカーからの手数料の2つ。大手代理店の幹部は「携帯販売以外の収益源を探さないといけない」と危機感をあらわにする。(堀越功、舘野真治)

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