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全人代ルポ 仏頂面の習主席、李首相と目も合わせず

【北京=多部田俊輔】中国・北京の人民大会堂で5日開かれた全国人民代表大会全人代、国会に相当)では、習近平(シー・ジンピン)国家主席は仏頂面で李克強(リー・クォーチャン)首相とは目も合わせなかった。習氏の盟友、王岐山国家副主席は隣の劉鶴副首相とひそひそと話しており、米中交渉の打開に向けて議論をしていた可能性もある。

「私は国務院を代表して政府活動報告を行い、審議を求める」。午前9時(日本時間同10時)に始まった李克強首相の演説はおよそ1時間45分。昨年に比べて李首相は言い間違いも少なく、拍手は前年並みの50回前後だったが、習氏の対応は厳しかった。

濃紺のスーツに青やグレーに見えるネクタイを締めた習氏は最高指導部らの先頭に立って入場。習氏が先に着席すると、周囲もあわせて席に着いた。李首相が政府活動報告を話している間は終始、仏頂面。報告が記載された冊子を開かない時間が多く、会場全体を見渡していた。

習氏の仏頂面が消えたのは、隣に座る汪洋(ワン・ヤン)全国政治協商会議主席に話しかけた時だけ。汪氏は手ぶりを加えて熱心に説明している様子で、習氏は李首相の演説を聞かずにうなづいたり、合いの手を入れたりした。

李首相が演説に向かう時、演説後に習氏の隣の自席に戻る時の両方とも、習氏は李首相をねぎらって握手を交わすことも、目を合わせることもなかった。李首相の演説中に起きた拍手の多くに加わらなかった。

会場で取材していた中国の内政に詳しい海外メディアの男性は「久しぶりに不機嫌な様子の習氏を目の当たりにした。国内経済減速と米中交渉難航という内憂外患の中で、李首相との関係もぎすぎすしているおそれがある」と分析した。

習氏の盟友で、習指導部のキーパーソンである王国家副主席の動向にも注目が集まった。習氏と同様に李氏が読み上げた政府活動報告の冊子を開かずに前を見つめる時間が長く、演説が半分を過ぎると、隣の米中交渉を担当している劉副首相に話しかけた。

王国家副主席は劉副首相に若干体を傾け、劉副首相が体を向けて説明する様子が目立った。トランプ米政権が全人代開幕前に予定していた追加関税引き上げは延期となったことから、中国メディアの記者は「米中交渉について話していた可能性もある」と指摘した。

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習政権

3期目となる新たな習近平(シー・ジンピン)指導部が発足しました。習政権では習氏に近いとされる「習派」は最高指導部を指す政治局常務委員で7人中6人を占め、序列24位以内の政治局員でも約7割が該当するとみられます。権力の一極集中を進める習政権の最新ニュースや解説をまとめました。

「習政権ウオッチ」習政権の中枢で何が起きているのか。中沢克二編集委員が深掘りします。
「大中国の時代」異形の膨張を続ける「大中国」の轍(わだち)と、習氏のビジョンを読み解きます

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