2019年6月16日(日)

中国企業、マレーシアからパーム油を大量購入へ

2019/3/5 1:38
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【シンガポール=中野貴司】中国食用油大手の益海嘉里グループなど複数の中国企業は4日、マレーシアのパーム油計8億9100万ドル(約1千億円)を購入する大型契約を結んだ。中国とマレーシアは、中国主導で建設が進んでいたマレーシアの「東海岸鉄道」事業を巡って建設条件の再交渉を進めている。中国側にとっては、マレーシアの主要輸出品であるパーム油を大量購入することで「貸し」をつくる狙いがあるとみられる。

パーム油が主要輸出品のマレーシアにとって、中国の輸入拡大は助け舟となる=ロイター

クアラルンプールで開かれた中国企業とマレーシア企業の売買契約の締結式典には、マレーシアのテレサ・コック第1次産業相と中国の白天・駐マレーシア大使が同席した。今回合意した162万トンは、マレーシアのパーム油の年間輸出量の約1割に相当する規模だ。

マレーシア側の発表によると、パーム油の購入契約を結んだ中国企業には益海嘉里グループなど3社が含まれる。

コック氏は4日、米中間の貿易戦争が激しくなって以降、食用油などの原料になる大豆の輸入が減り、中国国内でのパーム油需要が高まっていると指摘。中国へのパーム油輸出の増加は、同国とマレーシア双方の利益になると強調した。

マレーシアにとってパーム油の販路拡大の意義は輸出増だけでない。これまで主要な輸出先だった欧州連合(EU)でパーム油に対する規制強化の機運が高まり、今後はEU向けの輸出が減る懸念があるからだ。今回の中国の購入量はマレーシアからEUへの年間輸出量の8割超に匹敵する。

マレーシアのマハティール政権は18年7月、財政再建を理由に、着工済みだった中国主導の東海岸鉄道の建設をいったん中止すると発表した。ただ、両国はその後も建設再開も視野に入れ、費用圧縮などの交渉を水面下で続けている。マハティール首相は4月にも訪中する計画で、東海岸鉄道もその際に主要テーマの一つとなるとみられる。

今回のパーム油貿易の大型契約は、中国とマレーシアが東海岸鉄道の建設再開で早期に折り合えるかどうかに影響するかもしれない。仮に建設の中止が確定すれば、マレーシア政府は違約金の支払いを迫られる可能性が高いため、マレーシア側にとっても中止は避けたい選択肢だといえる。

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