「日本人以上に日本楽しんだ」キーンさん養子が会見
2月24日に96歳で死去した日本文学研究者ドナルド・キーンさんの養子で、浄瑠璃三味線奏者のキーン誠己さん(68)が4日、東京都内で記者会見した。2月28日に葬儀を行ったことを報告し、「日本人以上に日本を楽しんで、喜んでいた。本当に幸せな一生だったと思います」と話した。

誠己さんによると、キーンさんは2018年秋から都内の老人ホームで暮らしていたが、今年2月4日に誤嚥(ごえん)性肺炎で緊急入院。亡くなる前日の23日には親しい知人らが病室を訪れ、笑顔を浮かべたり、うなずいたりしていた。24日早朝に誠己さんが病院に呼ばれ、到着した時には既に意識がなかった。
2人の交流は06年に始まり、キーンさんが12年に日本国籍を取得後、養子縁組した。死去の1週間ほど前に英語で「君は僕にとっての全てだ」と言われたのが、最後の言葉だったという。
「父は『原稿が書けなくなったり、本が読めなくなったりしたら死んだ方がいい』と言っていた。自分がもう仕事ができなくなって、死ぬ日も近いことに気付いてたと思います」と振り返った。〔共同〕