2019年8月22日(木)

円周率「3」だった? 世代論も過熱(平成のアルバム)
ゆとり教育

2019/3/9 6:30
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「ゆとり教育」導入後、薄くなった教科書(左)

「ゆとり教育」導入後、薄くなった教科書(左)

円周率が3.05より大きいことを証明せよ――。2003年の東大入試で出された問題だ。円周率が「3.14」から「3」になったと騒がれた「ゆとり教育」に対し、東大が警鐘をならしたのでは?と噂された。

授業内容が大幅に削減されたゆとり教育で象徴のように語られた円周率「3」。でも実際の学習指導要領は「3.14」のままだった。指導要領の中にあった「目的に応じて3を用いる」という文言が切り取られ、学習塾の宣伝文句に登場したことなどから独り歩きした。「徒競走で手をつないでゴールする小学校がある」と都市伝説のように話題になることもあった。

過度な競争を見直そうと導入されたゆとり教育。それ以前の世代からすると、「3」も「手つなぎゴール」もゆとり教育を揶揄(やゆ)するネタだったのかもしれない。今も若手社員が「ゆとり世代だからな」と冷やかされる職場もあるようだが、ITスキルは中年の上司より高いし、会議資料はパソコンであっという間に作り上げる。

「ゆとりでしょ? そう言うあなたは バブルでしょ?」。第一生命保険の「サラリーマン川柳コンクール」で17年に第1位になった一句は言い得て妙。猛烈に働いた昭和世代との間にある微妙な空気感をくみ取った。16年には、ゆとり世代が会社の人間関係や恋愛に戸惑いながらも前に進む姿を描いたテレビドラマ「ゆとりですがなにか」が話題を呼んだ。

世代では1987~03年度に生まれた人たちが少なからずゆとり教育を受けている。見渡せば時代を背負う逸材は多い。スポーツ界ではフィギュアスケートの羽生結弦選手(24)やプロ野球の大谷翔平選手(24)らが活躍。囲碁の井山裕太棋聖(29)や戦後最年少で直木賞作家になった朝井リョウさん(29)も同世代だ。

ゆとり教育は10年度を最後に終わった。政府が「脱ゆとり」へと方針転換し、11年度の学習指導要領からは授業時間が増え、教科書が厚くなった。一般社団法人「教科書協会」(東京・江東)の15年度の調査によると、小学1~6年の主要4科目(国語、算数、社会、理科)の教科書の総ページ数は合計4896ページ。10年前より35%多い。

ランドセルの中身が重くなり、千葉県鎌ケ谷市にある接骨院の佐々木純院長(30)は「腰痛で来院する小学生が増えた」と話す。佐々木院長はゆとり教育を受けた世代。最近は授業時間が増えて7時間目を導入する小学校もある。「(腰痛は)教科書が厚くなったこともあるが、外で遊んで身体を育む時間が減ったことも影響している」。忙しい今の小学生を、ゆとり世代は気遣った。

ゆとり教育 「詰め込み型」で知識偏重だった学校教育を見直し、自ら考える力を養おうと導入された教育方針。80年度の学習指導要領から授業時間が減り、週5日制が完全実施された02年度の指導要領で学習内容が3割減った。一般的には02年度の改訂がゆとり教育の出発点とされる。だが国際的な学力テストでの成績低下が問題となり、ゆとり教育が批判された。11年度からの学習指導要領で学習内容が増え、「脱ゆとり」への転換が図られた。

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