米韓、春の大規模軍事演習打ち切り 北朝鮮に配慮 - 日本経済新聞
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米韓、春の大規模軍事演習打ち切り 北朝鮮に配慮

(更新)

【ワシントン=永沢毅、ソウル=恩地洋介】米韓両政府は2日、毎年春に実施している2つの大規模な合同軍事演習の打ち切りを決めたと発表した。今後は規模を縮小した新たな訓練に衣替えする。ベトナムでの米朝首脳会談は非核化の合意に至らなかったものの、北朝鮮に一定の配慮をすることで完全な非核化に向けた協議を継続させる余地を残した。

米国防総省は打ち切りの理由について「緊張を緩和し、朝鮮半島の完全な非核化を実現する外交努力を後押しするため」と説明した。トランプ大統領は2日、ワシントン近郊での演説で「北朝鮮は(米国と)合意できれば素晴らしい経済発展ができる。もし核兵器にこだわれば経済的な未来はない」と表明。完全非核化を求める方針を重ねて強調した。

軍事演習打ち切りの理由についてトランプ氏は3日、「(軍事演習に費やす)巨額のお金を節約するためだ」とツイッターで説明した。「費用は米国に返済されない」として同盟国防衛のための軍事費負担が過大だとの見方を示す一方、「現時点で北朝鮮との緊張緩和は良いことだ」とも指摘。米朝の非核化交渉の継続に向けて演習の打ち切りを判断した可能性をにじませた。

打ち切りを決めたのは実際に戦力を動かす野外機動訓練「フォール・イーグル」と、シミュレーション中心の指揮所演習「キー・リゾルブ」。毎年2~4月ごろに実施している。シャナハン米国防長官代行と韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相が2日に電話協議し、2つの演習を終了させることで合意した。

米国防総省によると、両氏は今後は新たな野外機動訓練や指揮所演習を通じ、即応態勢を維持することで合意した。韓国軍合同参謀本部と米韓連合軍司令部は3日、「キー・リゾルブ」に代わる新たな演習を4日から12日まで実施すると発表した。名称は「同盟」で、期間は週末を除く7日間と従来の半分程度に縮小した。韓国メディアによるとフォール・イーグルは名称をなくし、小規模部隊を中心に年間を通じて実施する形式にする。

鄭氏は電話協議で、先の米朝首脳会談で非核化を巡る合意に至らなかったことに遺憾の意を表明した。米朝が今後も精力的に協議を続けることに期待を示した。

ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は3日の米FOXニュースなどのインタビューで「米朝首脳会談が失敗だとは全く思わない」と主張。「大統領の責務は安全保障上の国益を守り推進することだ。トランプ氏はその責務を果たした」と訴えた。

北朝鮮の非核化による経済発展について「トランプ氏は(2018年6月の史上初となった)シンガポールでの首脳会談でそのドアを開いた。だが北朝鮮はその道を歩まなかった」と指摘。ハノイの会談では米朝合意に至らなかったが「トランプ氏には再びそのドアを開く用意がある」と語り、米朝交渉の継続が望ましいとの考えを示した。

北朝鮮はこれまでも米韓合同軍事演習の中止を求めていた。18年6月の初の米朝首脳会談後、トランプ大統領は対話を続けている間は演習の中止を表明。同年8月の指揮所演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」などを中止した。

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