新出生前診断、開業医も可能に 学会が条件緩和
日本産科婦人科学会は2日の理事会で、胎児にダウン症などがあるかを調べる「新出生前診断」について、研修を受けた産科医がいれば検査を実施できる案を了承した。6月にも正式決定する。検査施設の条件が緩和され、小規模な開業医でも可能になる。高齢出産が増えてニーズが高まっていることに対応する。

新出生前診断は胎児のDNAを調べ、ダウン症などを引き起こす3つの染色体異常を見つける。血液採取だけで手軽に受けられ、妊婦の負担は小さい。結果が陽性でも異常がない場合もあり、羊水を使った正確な診断が必要になる。
従来は産科医と小児科医が常駐し、遺伝の専門外来を設けていることなどが条件だった。同学会が認可する施設は大学病院など92カ所ある。
緩和によって、産科医は研修を受ける必要があるが、小児科医は常駐しなくてよい。新たに検査可能な施設が100カ所ほど増えるとみられ、分娩を取り扱う産婦人科病院の1割に相当する。検査で陽性が出れば、妊婦は体制の整った施設でカウンセリングを受ける。

新出生前診断は2013年に臨床研究として始まった。2018年3月までに6万人近くが受診し、胎児の染色体異常が確定した妊婦約900人のうちほぼ8割が人工妊娠中絶を選んでいる。しかし、ルールを守らずに検査を提供する開業医などに行く妊婦が増えており、認定施設に行きづらい地域もあり、条件の緩和を望む声があった。
緩和には反対意見もあり、臨床遺伝の専門医が集まる日本人類遺伝学会は反発。患者団体の日本ダウン症協会も妊婦が相談できる環境の整備を求める声明を出した。