辺野古移設、続く難路 軟弱地盤で法廷闘争も
首相、工事推進を知事に伝達

2019/3/2 1:00
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米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る2月の県民投票を受け、安倍晋三首相は1日、首相官邸で沖縄県の玉城デニー知事と会談した。玉城氏は移設反対という民意を後ろ盾に政府に工事中止を求めたものの、首相は従来の移設方針を崩さなかった。玉城氏は今後、法廷闘争も視野に入れる。政府にとっては移設工事は難路が続く。

玉城氏は会談で反対票が7割を超えたと説明し「民意が初めて明確にされたことは重要な意義がある」と述べた。「民意は尊重されなければならず、工事は直ちにとめてほしい」と訴えた。

首相は「結果は真摯に受け止める」としながらも「普天間の危険な状況を置き去りにできない」と指摘。「(辺野古移設を)これ以上先送りできない」と応じ、双方の主張は平行線で終わった。

県民投票で「反対」は約43万票で、県条例が日米首脳に結果を伝えると定めた投票資格者総数(約115万人)の4分の1を超えた。今回の会談は県の要請に首相が応じた。玉城氏は在日米大使館でヤング駐日米首席公使にも結果を伝えた。

玉城氏は首相との会談で新たに、日米両政府でつくる米軍基地の整理・縮小を協議する日米特別行動委員会(SACO)に県を加えた枠組みを提案した。日米交渉に県が意見を挟む余地は少なく、米政府に直接訴える場にしたい考えだ。

首相は玉城氏の提案に言及はせず「知事との話し合いはしっかりやりたい」と述べるにとどめた。野上浩太郎官房副長官は会談後の記者会見で「米国との交渉は政府が代表して行うべきだ」と否定的な考えを示した。

玉城氏は政府と県、宜野湾市でつくる「普天間飛行場負担軽減推進会議」の開催も求めた。首相は事務方に伝える考えを示した。「負担軽減に一つ一つ結果をだしていきたい」とも述べた。

1996年の米軍基地の整理縮小などを問うた県民投票は「賛成」9割という結果となり、政府は「沖縄政策協議会」の設置を決める配慮をみせた。今回は県民投票後の首相との会談でも県側の成果はほとんどない。実際に移設工事が進んでいる状況変化もあるが、対立の深さを物語る。

辺野古工事は2018年8月の埋め立て承認撤回で中断し、国土交通相がこの効力を停止すると11月に再開した。県は総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に申し出たが却下された。

県は次の一手として国交相の決定を不服として近く裁判所に提訴する。政府は効力停止までの過程に問題はないとし、25日に新たな海域で土砂投入を始める。

もう一つの火だねが軟弱地盤への対応だ。埋め立て予定地の北東側に存在することが明らかになった。政府が本格的な工事に着手していないエリアだ。政府は地盤改良による設計変更を年内に県に申請する方針だ。

さや当ては始まっている。県は18年11月、地盤改良によって政府計画の10倍にあたる2兆5500億円の費用が必要だとの試算を公表。2月には政府が公表していない段階で、政府が砂のくい約7万7千本を用いて、最大で海面から90メートルまで打ち込む工事を計画していると明らかにした。

これに岩屋毅防衛相は28日、くいは水深70メートルの地点までで済むと説明。「(改良工事の面積の)全体の約7割は水面下40メートル未満の工事だ」と反論した。県は環境保全の観点などから設計変更を認めない構えだ。政府は県の対応の違法性を確認する訴訟も検討する。

翁長雄志前知事の時代も双方が提訴しあう状況が生まれた。最後は県が敗訴し、政府関係者は「今回も同様の結果で終わる」とみる。それでも対立による工事の遅れは避けられない。日米が目指す22年度の普天間返還は困難さを増している。

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