2019年9月16日(月)

「介護・育児で非正規」増加 働き方改革は途上

2019/3/2 1:31
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介護や育児を理由に非正規の仕事を選ぶ人が増えている。景気が回復し、正社員になれずにやむなく非正規に就く人は減った。一方で女性が育児や介護を仕事と両立するために、時間が自由な非正規の仕事を選ぶ傾向は強まっている。男女別に見ると、家事を理由に非正規に就くのは女性が圧倒的に多い。男女の違いをなくす働き方の改革は途上と言えそうだ。

東京都品川区に住むある40代の女性は週2~3回、建築士のアシスタントとして非正規で働いている。かつては正社員として働いていたが、出産を機に退職。2人の女児は小学2年生と幼稚園児で「今の働き方なら行事や習い事に付き添える。正社員の中途採用は働き方の希望を出しにくそう」と話す。

総務省がまとめた2018年10~12月期の労働力調査によると、家事や育児、介護のために非正規の働き方を選んだ人は267万人と、13年1~3月期の調査開始時に比べて48%増えた。

内訳を見ると男女の違いがはっきりする。267万人のうち女性は259万人で、男性は7万人にすぎない。女性は「正規の仕事がない」ことを理由に非正規となった人は123万人で、いわゆる家庭の事情から非正規を選ばざるを得ない人が多いことが分かる。

景気が回復し、正社員になる人は増えた。男性で非正規になった人は「都合のよい時間に働きたい」が184万人と過去最高を更新。「正規の仕事がないため」とした人は121万人で最も少ない。男性は65歳以上の非正規が194万人と5年前より73万人増えた。男性は女性とは異なり、正社員を退職した人が非正規で働く姿が浮かぶ。

17年には共働き世帯が1219万世帯と、1980年以降で初めて専業主婦世帯の2倍を超えた。働く女性が増えたためだが、女性は非正規社員が1471万人と男性の2倍強に達する。共働きでも男性が正規、女性が非正規の形が続く要因の一つは、日本では家事の負担が女性に偏っていることにある。

子育て世帯への保障が充実する一方、待機児童問題が深刻になる懸念も

子育て世帯への保障が充実する一方、待機児童問題が深刻になる懸念も

内閣府によると、6歳未満の子供がいる女性の家事・育児関連時間は1日あたり7時間34分。男性は1時間23分と女性の5分の1程度だ。米国、ドイツ、スウェーデンなどは男性でも3時間以上を家事・育児にあてる。女性は5~6時間程度だ。内閣府は日本の男性が家事や育児をする時間は「先進国と比べて低水準」と指摘する。

女性の能力を生かさないことは機会損失を生む。第一生命経済研究所の熊野英生氏の推計では17年には約20万人が出産で退職し、経済的な損失は約1兆2千億円にのぼるという。時短勤務など働き方に取り組む企業は増えているが、熊野氏は「制度を使いづらい雰囲気などの改善が必要だ。育児などで退職した人の復職制度の創設も有効だ」と話す。

厚生労働省によると、17年の女性の所定内給与は男性の73.4%にとどまる。60%程度だった30年前よりは差が縮まったが、女性は家庭の事情でキャリアが途切れやすく、賃金が伸びにくい。リクルートワークス研究所の大久保幸夫所長は「夫の転勤で退職する女性は多い。夫婦のどちらかがキャリアを捨てる転勤制度は見直す必要がある」と話す。

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