2019年6月27日(木)

負け組百貨店は復活するか
米州総局 中山修志

2019/3/1 7:52
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28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落した。ベトナムで開かれた米朝首脳会談は具体的な成果がなく消化不良に終わった。午前に公表された米国内総生産(GDP)もぱっとせず、買い時を狙っていた投資家は肩すかしを食らった。

JCペニーはソルタウCEOのもとで復活をめざす

18年10~12月の実質GDPは前期比2.6%増と伸び率が鈍化した。GDPの7割を占める個人消費の伸びが7~9月の3.5%から2.8%に下がったことが主因だ。

米景気を左右する消費動向を巡って、市場の評価は分かれる。見方を複雑にしているのが、2月半ばに商務省が発表した昨年12月の小売売上高だ。政府閉鎖の影響で1カ月遅れの発表となった12月統計は、前月比1.2%減と約9年ぶりの下げ幅となった。

年末商戦が後半に失速したとの分析がある一方、突然の急落は、調査の遅れによる異常値ではないかとの見方も出た。ウェルズ・ファーゴ証券は「売り上げが落ちる1月のデータが紛れ込んだ可能性がある」と指摘した。

消費失速派の根拠のひとつとしたのが、百貨店大手JCペニーが1月に公表した販売実績だ。年末商戦期間の既存店売上高が3.5%減と落ち込み市場関係者を失望させた。だが、2月28日に18年11月~19年1月期決算を発表したジル・ソルタウ最高経営責任者(CEO)は、年末商戦では販売増より在庫削減を優先し、この間に在庫を13%圧縮したと明らかにした。

全米に860店を構える同社はアマゾン・ドット・コムなどネット通販の攻勢にさらされ、ここ数年は赤字決算が続いている。16年まで10ドル台だった株価は18年半ばに1ドル台まで下落。フィッチ・レーティングスは今年1月に同社の格付けをシングルBマイナスに下げた。昨年5月には前CEOが突然退任し、5カ月の不在を経て手芸用品チェーントップだったソルタウ氏がCEOに就いた。

4カ月かけて全米の店舗を視察したという同氏は、決算発表の電話会見で「最大の問題は過剰在庫だった」と発言。当面は在庫圧縮を優先し、2月末までに家電と家具の店舗販売から撤退する考えも明らかにした。

量販店大手のターゲットとホームセンターのマイケルズ、コンビニエンスストアのセブンイレブンでそれぞれ副社長を務めた3人の幹部を起用し、商品と営業、資産管理部門のトップに据える人事も発表した。3人は過去にウォルマートやホーム・デポ、カジュアル衣料のギャップなどでも実務経験があるという。小売業のオールスター出身者をそろえたソルタウ氏は「このメンバーで必ず会社を立て直す」と力説した。

経営破綻したシアーズと並んで負け組の評価が定着していたJCペニーだが、市場はソルタウ氏の覚悟を好意的に受け止めた。同社の株価は一時31%上昇。BライリーFBRのジェフ・シンダレン氏は「課題は多いが、在庫削減ははじめの大きな一歩だ」と評価。「ひとまずソルタウ氏の挑戦を信じてみる」とコメントした。

28日までに発表があった小売業決算をみる限り、個人消費の明らかな失速は感じられない。米景気の先行きと合わせて、老舗百貨店の復活の成否にも注目が集まる。

(ニューヨーク=中山修志)

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