2019年8月25日(日)

要介護でも容易に着替え 広島のマルカが衣料ブランド

2019/3/1 6:00
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縫製会社のマルカ(広島県福山市)は体の不自由な人も簡単に着られるユニバーサルデザインの衣料ブランド「ONESELF(ワンセルフ)」を立ち上げた。第1弾として、まひの残る友人の依頼で開発した、ボタン部分に面ファスナーを付けるなどして脱ぎ着しやすくした綿シャツを発売。インターネット販売を主体に、医療・福祉業界にも売り込んでいく。

ワンセルフをPRするマルカの後藤社長(左)と友人(広島県福山市)

「1人で簡単に脱ぎ着できるシャツがほしい」――。すべては後藤賢二マルカ社長の友人のひと言がきっかけだった。

友人は約10年前に脳出血で倒れ4カ月入院、右半身まひや言語障害が残った。左手だけではうまくボタンをはめたり外したりできず、服の脱ぎ着に時間がかかるという。当初は多忙で対応できなかったが、やがて「体が不自由な人が1人で服を着られるということは気持ちを前向きにさせることなんだ」(後藤社長)と思い至り、2017年に開発に着手した。

広島県医工連携プロジェクトを通じて県作業療法士会の合田健太理事らと出会った。「リハビリ中の人に役立つアイデアがあっても商品化する力に乏しい」(合田理事)作業療法士とニーズを探りたい後藤社長。思いが重なり「自分で(by oneself)着て、自分らしく(be oneself)外出できる」(後藤社長)ボタンダウンシャツが完成した。

パッと見は普通のシャツだが、よく見ると様々な工夫が見えてくる。まず、ボタンは飾り。裏地に面ファスナーを付けて簡単に付け外しできるようにした。第3ボタン部分を青い面ファスナーにして「そこから留めていけば"ボタンの掛け違い"も防げる」(同)。

腕を通すアームホールはパイピングテープで分かりやすくした。剣ボロ(袖口の切れ込み)は通常の1.5倍に伸ばし、袖が広がりやすくした。腕の通りが良くなるという。左右どちらのまひにも対応するよう、胸ポケットは両側に付けた。

厚生労働省によると、14年の脳血管疾患の総患者数は約118万人。うち就労世代(20~64歳)は約17万人にのぼる。しかし、就労復帰に必要な要介護者向け衣料はオーダーメードが主流で、気軽に簡単に着られる既製服は少ない。

「年40億着の服が輸入され、30億着が廃棄されているとも言われるが、実は本当に必要な服が必要な人に届いていない。この現状を何とかしたかった」(後藤社長)

色・柄別に計4タイプあり、1着8900円(税抜き)。通販サイトで販売するほか、3月に広島市で開く作業療法士学会などでもPRする。今後は冠婚葬祭用ワイシャツや地元の特産であるデニム生地のシャツなども品ぞろえしたい考えだ。

(福山支局長 増渕稔)

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