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香川・三豊にAI研究拠点 地方の課題を飛躍の資源に

最新の人工知能(AI)研究を地方から発信する試みが動き始める。香川県出身でAI研究に取り組む東京大学大学院の松尾豊・特任准教授が同県三豊市にサテライト研究室を設け、人手不足に悩む地元企業の作業効率化を模索する。課題を多く抱える地方だからこそ研究対象が豊富にある。不利な条件を逆手に取り、飛躍の資源にする地域作りに期待がかかる。

地元企業と、作業効率化について意見を交わした(13日、香川県三豊市)

「機械に目が誕生する。画像認識で作業を自動化できる」。松尾氏は2月1日に香川県内で開催された講演で、ディープラーニング(深層学習)が労働集約型の産業にもたらす恩恵を説明した。画像認識の精度が向上したことで、農業や建設、食品加工や介護など、幅広い産業での応用が見込めるという。

4月に開設予定のサテライト研究室は、三豊市の三豊市財田庁舎2階スペースを使う。2018年8月に締結された三豊市、松尾氏の研究所、香川高等専門学校(同市)の連携協定に基づくもので、延べ床面積は約340平方メートル、計4室を整備する。

三豊市の19年度当初予算案は、一般会計の総額で329億円と前年度比6.9%増。AI研究に重点を置き、サテライト研究室開設には1135万円を計上している。

設置される研究室では高専生がプロジェクト単位で研究に参加し、参画企業の課題に対して解決策を提案する。AIは技術を自動運転などの機械に落とし込む必要があるため、機械の組み立てなどに習熟した高専生はAI時代を担う人材になると松尾氏は考えている。

実際に企業はどのような問題意識や課題を抱えているのか。

水だけで汚れが落ちるスポンジ「激落ちくん」などを製造・販売する日用品メーカーのレック。四国工場(香川県三豊市)を松尾氏が視察した際、企業から生産管理を効率化したいという要望があった。生産や販売のデータを使って廃棄のロスを減らせないか意見交換した。

冷凍コロッケ大手の味のちぬや(香川県三豊市)では、ジャガイモの選別作業や梱包に人手がかかっており、画像認識による自動化が可能かどうか議論が交わされた。

AI時代の「地域の宝」高専は日本全国にあるため、高専とAI研究を組み合わせた新しい地方創生ができるのではないか。三豊市長の山下昭史氏は「三豊モデル」と名付ける。

AIを研究できる場所として人材が集まり、課題を解決できる場所として企業が集まる。課題が多く山積する地方だからこそ、AIを用いた新たな技術が生まれる可能性がある。山下市長は「東京一極集中に対抗できるツールであり、AIを提供する側に回れるチャンスだ」と意欲的だ。

時代の変化に伴い、眠っていた地域の宝が輝き始める。地方発の試みが、最先端へと突き抜ける起爆剤になるかもしれない。(高松支局 櫻木浩己)

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