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施設側接触にいらだち? 養護施設長刺殺の容疑者

東京都渋谷区の児童養護施設「若草寮」で25日、施設長の大森信也さん(46)が刺殺された。様々な事情で施設に入った子供たちの親代わりとなり、熱心に支援に取り組んでいた大森さん。元入所者の田原仁容疑者(22)=殺人未遂容疑で逮捕=が襲った動機は不可解だ。警視庁は困窮の中で不満を募らせ、施設関係者を逆恨みした可能性があるとみている。

施設長が刺される事件があった児童養護施設「若草寮」(25日午後3時44分、東京都渋谷区)=共同

「助けて! 痛い!」。25日午後1時50分ごろ、叫び声を聞いて駆けつけた職員の目に入ったのは、施設長室で胸に包丁が刺さったまま座り込む大森さんの姿だった。首や腹など10カ所以上を刺され、刺殺時の衝撃で包丁の柄が外れていた。

防犯カメラには、田原容疑者が無施錠の1階玄関から施設に侵入する様子が映っていた。その後すぐに玄関脇にある施設長室に入り、大森さんを刺したとみられる。捜査関係者は「強い殺意があった」とみる。

捜査関係者によると、田原容疑者は母親とのトラブルがきっかけで2012年、施設に入所。18歳になり東京都東村山市の高校を卒業する15年3月まで暮らした。退所後は施設が紹介した同市内のアパートに入居。郵便関係の正規職員の仕事に就いて自立を目指したが、1カ月半ほどで辞めてしまったという。

その後も仕事は長続きせず、18年9月にはアパートの家賃を滞納。大家から連絡を受け、保証人だった施設職員が訪ねると部屋の壁に多数の穴が開いていた。田原容疑者が錯乱していると感じた職員は110番通報し、警察署が一時保護した。このトラブルで住まいを失った同容疑者に、施設側は建設関係の住み込みの仕事を紹介して生活相談に乗るなど自立に向けた支援を続けたという。

しかし18年末に職場から失踪。その後はJR大宮駅(さいたま市)付近のネットカフェを転々とする不安定な生活を送っていた。

事件の2~3週間前、田原容疑者は大宮駅近くの100円ショップで全長20センチの文化包丁を購入し凶器に使った。事件当時の所持金は数百円。若草寮の現場には、飲みかけのペットボトルと携帯電話の充電器が入ったナップザックが残されていた。

一般に児童養護施設で成長した子供は、自立までに様々な困難に直面することが多い。だが田原容疑者のケースで施設側は、仕事や住まいの紹介など丁寧なケアをしていたことがうかがえる。同容疑者が強い殺意を抱いた理由は不可解だ。

「職員にストーカーをされ、施設に恨みがあった」「誰でもよかった。できれば他の職員も刺そうと思っていた」。同容疑者はこうも供述。ある捜査関係者は「生活支援のための施設側の接触に一方的にいらだちを募らせ、逆恨みして犯行に及んだ可能性がある」と話している。

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